2019年1月28日 報道ステーション

2019年1月28日 報道ステーション

1月28日の報道ステーションのレポートです。
今回の放送では厚労省の不正について正当な見方をしていなかったと思われる放送であったので取り上げていきます。早速見ていきましょう。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:さあ続いてですが、こちらをご覧下さい。統計不正問題で揺れる厚労省の定塚官房長です。先ほど取材に応じたんですが、外部の有識者が行ったとしていた職員らへの聞き取り調査に、自らも同席していたことを明らかにしました。身内、しかも幹部がいるなかで、職員らは本当のことを話せたのでしょうか。

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【VTR】
ナレ:午後8時過ぎ、統計不正問題で揺れる厚生労働省のロビーに姿を現したのは、定塚由美子官房長です。

定塚由美子官房長:国民の皆様にご迷惑をおかけしていることを、厚生労働省の幹部の一員として改めておわびを申し上げたいと思います。

ナレ:統計不正問題をめぐっては、先週、弁護士などで作る厚労省の特別監察委員会が組織的隠蔽を否定する調査結果を発表しました。しかし、職員へのヒアリングに厚労省幹部が同席し、外部の委員に混じって質問までしていたことがわかりました。

定塚官房長:元幹部職員に対してのヒアリングに厚生労働省としての姿勢を示すという意味で、事務局として出席をさせていただいている。

インタビュアー:なぜ最初の時にこういった形を細かくすべて発表しなかったのでしょうか。

定塚官房長:隠すつもりは全くございませんで、特にこちらから発表はしなかったですけれども、事務局でございますので、事務局の一員として出席をするということは、これは自然なことというふうに考えていました。

ナレ:現職の幹部職員のヒアリングには事務方ナンバー2の宮川晃審議官が、幹部職員OBには定塚官房長が同席していたということです。調査の中立性は担保されていたのでしょうか。特別監察委員会は、わずか6日間で「組織的な隠蔽はなかった」という報告書をとりまとめました。

根本匠厚生労働大臣:厚生労働省としての組織的関与はなかったと考えております。むしろ組織的不関与が問題であったとされているものと見ております。

ナレ:しかし、先週の木曜に開かれた閉会中審査では、与党からも批判の声が上がりました。ちなみに、「消えた年金問題」では、事実解明に4ヶ月以上をかけています。今日から始まった通常国会。安倍総理は、施政方針演説で、統計不正問題について陳謝しました。

安倍晋三総理大臣:勤労統計について長年にわたり不適切な調査が行われてきたことは、国民の皆さまにおわび申し上げます。統計の信頼回復に向け、徹底した検証を行ってまいります。

ナレ:政府としては、早期の幕引きを図りたいところですが、追加の調査を余儀なくされています。

菅義偉官房長官:一部のヒアリングに官房長が同席したと聞いております。

インタビュアー:さらにヒアリングを行う過程で、官房長同席なしとか、ちょっと趣向を変更するのは――

菅官房長官:当然そういうことです。

ナレ:さらに、今夜、厚生労働省の賃金構造基本統計でも、計画通りに調査していない不適切な処理が、新たに見つかりました。この週末行った、報道ステーションの世論調査では、内閣支持率は41%で、横ばいでした。一方、統計不正問題では、組織的な隠蔽はなかったとする厚労省の説明に、納得しないと答えた人が8割を超えました。野党は――

立憲民主党 枝野幸男代表:経済統計に影響を与えているわけですが、それについてのの言及もまったくなかった。完全にこの問題から逃げている。

国民民主党 玉木雄一郎代表:これは内閣全体の問題ですし、閣僚や総理の責任問題に発展すると。

ナレ:ただ野党は参議院の第一会派をめぐって、立憲民主党と国民民主党との間で主導権争いが起きていて、足並みは乱れています。こうしたなか、注目されていたのが昨日行われた山梨県知事選挙でした。与党の推す新人候補が立憲と国民が推薦した現職を、大差で破ったのです。

?:総理と幹事長、待ってますから電話してあげて。
新山梨県知事長崎幸太郎氏:ここに入る前に電話しましたんで。​

ナレ:今年は参院選と統一地方選挙が同じ年に行われる、12年に一度の「亥年選挙」の年です。与野党激突の一年。その先陣を飾ったのは、与党でした。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:さあ、今最後に安倍総理が施政方針演説を行っている様子を映っていましたけれども、衆院本会議でね、行われたんですが、VTRにもありました、統計不正問題についても施政方針演説の中で触れていましたね。

後藤謙次氏:はい。触れてはいるんですが、非常にある意味表面的な、そういう演説だったんですね。本来ならこれを徹底的に調査します、こういう方法で調査します、というのが本来の姿だったんですが、今回おわびをした上で、VTRにもありましたけれども、そのあと調査をしますと言ってるんですが、実はその間にもう一つ、安倍総理はこの演説の中で言ってるんですね。それはできる限りすみやかに簡便な手続きで不足分をお支払いします。つまりいかにもですね、施政方針演説というよりは、こうやって具体的にお金を払いますよと、私には施政方針というよりは選挙演説に聞こえてきてしまうんですね。そして安倍さんの今日の施政方針演説で強く感じたのは、言わなかったことなんです。そこに安倍さんの本意、本音があるんじゃないかって。とりわけ憲法についてはですね、ほとんど触れていないんですね。これは参議院選挙7月に控えてますからね、そこで憲法を争点化させたくないと。ただでさえ改憲勢力が三分の二を維持できるかどうかってところが焦点になってますから、憲法の焦点化を避けるという意味では、いろんな問題に触れている様子がすべてその場の敵に終わってる。そして安倍総理は、平成のその先の時代って言うのを7回も繰り返してますね。しかしその時代はどういう、具体的にわれわれはイメージしたらいいんですかっていうのが出てこなかった、というのが今日の現実だと思いますね。

富川アナ:韓国についてもほとんど触れてなかったですしね。

後藤氏:韓国は一言あっただけでした。
富川アナ:だからこの、ちょっと政治スケジュールご覧いただきたいんですけど、やはり今年は12年に一度の亥年選挙と言われている年、大型の統一地方選挙、参議院選挙、二つ同じ年に行われる、こういったところを意識していたんじゃないかというところですね。

後藤氏:そうですね。そして今回大きな特徴はですね、4月の1日に新元号発表されますよね。つまりそっから、安倍さんの言うその次の時代は始まってしまうんですね。つまり国会っていうのは今回二分されてしまうと。明日からの本格論戦と、3月いっぱいまで。これは予算が成立すると思いますが、それと5月の10連休明けから6月26日の会期末まで。この二つの国会があるんですね。つまり野党側としてはその前段の三月いっぱいまでに不正が厳しく追及できるかどうか。ただ今日初めて党首会談やってましたから、出遅れ感は否めないんですね。そして昨日の山梨の県知事選挙、これは非常に大きくてですね。安倍首相をやっぱり警戒しなきゃいけないのはですね、我々からするとですね、やはり同時選挙というのは――

富川アナ:衆参ダブル選挙。

後藤氏:――頭の片隅には必ずあるんじゃないかと。安倍さんは頭の片隅にないと言っているんですが、そのこと自体がある何よりの証拠なんですね。しかも昨日の山梨県知事選挙、本来負けると言われたのが勝ったと。しかも自民党は一緒に戦ったと。分裂せずに済んだ。さらに公明党の支援もまとまったというふうに自民党の勝ちパターンに入ったんですね。一方参議院選に向けて作業の準備不足。

徳永有美アナ:そうですね。野党の準備不足とありますけれども、野党も全然足並みが揃ってないと。

後藤氏:そうですね。

富川アナ:主導権争いみたいなことをやってますよね。

後藤氏:となるとですね、この同日選挙というのは浮かんでくるじゃないかと。最大の理由は参議院選の後にですね、タイミングがないということなんですね。つまり10月に消費税上がります。上げるとなかなかやりにくい。来年は東京五輪パラリンピックがある。日程的に隙間がない。再来年2021年。安倍さん9月に任期満了迎えます。そのときのタイミングがなくなってしまう。逆算方式でやるとすれば、この同日選挙。この誘惑に駆られると。しかし両方負ける危険性は必ずある。公明党は強く反対をしていていた。それは大義名分がない。その様々な問題を天秤に掛けながら、安倍総理や四月の元号発表まで、色々考えて、いよいよ決断するのかなーと。

富川アナ:ただ12年前を思い出すと第一次安倍政権で、消えた年金問題を追及されて、退陣まで追い込まれたということありました。参院選も敗退しました。今回の統計不正問題、ここを野党は足並みを揃えて追及できるかどうかですね。

後藤氏:そうですね。また厚労省かと。安倍さん実は思ってるかもしれませんね。

富川アナ:はい。一方で安倍さんのほうは、国民の政治不信をいかに払拭できるか。

後藤氏:と思います。

富川アナ:こういったところが注目になってきますね。

今回の放送の問題点は2点あります。
1点目は公正な放送であったか、それに伴い放送法に抵触する恐れがあること。
2点目は印象操作と取られかねない発言があったことです。

1点目からです。
まず今回の厚労省の不正に関しては2004年から誤った調査をしてきたことが明らかになっています。つまり安倍政権下で起こった問題とは言えない点が多くあり、民主党政権下でもこういった調査は続けられてきました。その中で今回の放送では安倍政権を批判する材料としてこの問題が扱われていました。例えば野党の以下のような発言を放送しています。

国民民主党 玉木雄一郎代表:これは内閣全体の問題ですし、閣僚や総理の責任問題に発展すると。

こういった意見を持った野党がいるのは良いですが、それ以外の論点もしっかり述べるべきです。
しかしスタジオでの解説では安倍政権の今後といった話がメインでほかの論点には触れられていませんでした。これは以下の放送法に抵触するおそれがあります。

放送法4条
(2)政治的に公平であること
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

次に2点目です。
VTRでは多くの時間を厚労省の不正に割いていましたが、スタジオ解説では安倍政権の今後についての批判に多くの時間を割き、不安を漏らすような発言が見られました。それが以下の発言です。

富川悠太アナ:さあ、今最後に安倍総理が施政方針演説を行っている様子を映っていましたけれども、衆院本会議でね、行われたんですが、VTRにもありました、統計不正問題についても施政方針演説の中で触れていましたね。

後藤謙次氏:はい。触れてはいるんですが、非常にある意味表面的な、そういう演説だったんですね。本来ならこれを徹底的に調査します、こういう方法で調査します、というのが本来の姿だったんですが、今回おわびをした上で、VTRにもありましたけれども、そのあと調査をしますと言ってるんですが、実はその間にもう一つ、安倍総理はこの演説の中で言ってるんですね。それはできる限りすみやかに簡便な手続きで不足分をお支払いします。つまりいかにもですね、施政方針演説というよりは、こうやって具体的にお金を払いますよと、私には施政方針というよりは選挙演説に聞こえてきてしまうんですね。そして安倍さんの今日の施政方針演説で強く感じたのは、言わなかったことなんです。そこに安倍さんの本意、本音があるんじゃないかって。とりわけ憲法についてはですね、ほとんど触れていないんですね。これは参議院選挙7月に控えてますからね、そこで憲法を争点化させたくないと。ただでさえ改憲勢力が三分の二を維持できるかどうかってところが焦点になってますから、憲法の焦点化を避けるという意味では、いろんな問題に触れている様子がすべてその場の敵に終わってる。そして安倍総理は、平成のその先の時代って言うのを7回も繰り返してますね。しかしその時代はどういう、具体的にわれわれはイメージしたらいいんですかっていうのが出てこなかった、というのが今日の現実だと思いますね。

安倍政権の今回の厚労省への対応が良くなかった、さらに演説が良くなかった、今後が心配だと一方的な意見を述べるだけでした。視聴者に伝えるべきはそのような印象ではなく、今回の厚労省の問題にしても安倍政権以前の問題であることなどを明らかにして解説すべきでしょう。

視聴者の会は公正な放送を目指して、今後とも監視を続けてまいります。

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