2019年2月5日 報道ステーション

2019年2月5日 報道ステーション

2月5日の報道ステーションのレポートです。今回の報道ではアベノミクスと厚労省統計不正問題を関連づけて放送がなされていました。失業率を下げ、日本経済を回復させてきたアベノミクスですがどのような報道だったのでしょう。見ていきましょう。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:続いては不正統計問題です。こちらは昨日の国会の様子になります。実は昨日から野党は「不正統計を生んだのはアベノミクスではないか」と厳しく政府を追及しているんですが、総理は反論しています。一体どういうことなのでしょうか。それぞれの主張を聞いていきましょう。

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【VTR】
立憲民主党 西村智奈美衆院議員:野党が試算した共通事業所系列の実質賃金の下落ぶり、これを認めてくださるんですか。

根本匠厚生労働大臣:機械的に消費者物価で割り戻すことで、そういうことで出されたことについてはその限りにおいては、その前提の限りにおいては、それはいま委員がおっしゃられたとおりだと思います。

ナレ:去年の実質賃金の伸び率が実際にはマイナスになるのでは、という野党の試算を、根本大臣は初めて認めました。

西村衆院議員:いま根本大臣は昨年2018年の実質賃金の共通事業所系列分がマイナスであることをお認めになりました。これは大変重要な答弁だと思います。だとすれば総理、こういった状況で消費税本当に上げられますか。

安倍晋三総理大臣:総雇用者所得におきましては、名目におきましても実質におきましてもプラスになってきていることはずっと申し上げてきておりまして、我々はそういう数値をよく見ているということになるわけでございます。

ナレ:安倍総理が重視するのは、国内の労働者の所得を合計した「総雇用者所得」です。アベノミクスの成果で賃金全体は着実に伸びているというのです。野党はそのアベノミクスと、不正統計の関係を指摘しました。

国民民主党 玉木雄一郎代表:やっぱり600兆円という目標を変に掲げたときからおかしくなっているんですよ。そのあと驚くほど逆の方向に統計の見直しが進んでいくわけですよ。

ナレ:今回問題となっている毎月勤労統計をめぐっては、去年一月、調査の方法が大きく変わりました。不正のあった500人以上の事業所だけでなく、中規模の事業所の調査でも変更が加えられたのです。中規模の事業所を対象とした調査の見直しの議論が始まったのは、今から4年前の6月のこと。厚労省が有識者による会議を立ち上げました。メンバーの一人に選ばれたエコノミストの永濱利廣さんです。

第一生命経済研究所 永濱利廣首席エコノミスト:それまで勤労統計というのは新聞の記事にもなかなかなりにくかったのがですね、アベノミクスが始まって急に勤労統計が注目されてきたことによって、厚労省の担当者は少し戸惑っているような、そういったような印章を強く受けました。

ナレ:有識者会議は6回の会合ののち、調査方法の見直しは現場の負担が大きいなどとして、引き続き検討するという中間報告をまとめました。

永濱利廣氏:7回目からはですね、小刻みに調整するものも含めて本格的に議論するという形で終わったんですが、6回目が最後でそれ以降は結局は実施されなかった。

ナレ:その直後のことです。

安倍晋三総理大臣:アベノミクスによる成長のエンジンをさらにふかし、GDP600兆円の達成を明確な目標として掲げたいと思います。

ナレ:安倍総理が自民党総裁選での再選を決め、GDP600兆円の達成を掲げます。その翌月、麻生財務大臣が経済財政諮問会議で、こう発言します。

麻生太郎財務大臣:毎月勤労統計については、企業サンプルの入れ替え時には変動があるということもよく指摘をされている。ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたい。

ナレ:このあと、調査方法の変更を議論する舞台は総務省の統計委員会に移り、中規模の事業所の調査方法を変更することが決まりました。野党は政治的圧力があったのではないかと指摘しました。

無所属 小川淳也衆院議員:勤労統計を名指しして、おかしいから見直せと言ってますね。いったいこれ何の権限に基づいて統計にここまで具体的に示唆しているんですか。

麻生財務大臣:いわゆるサンプルのあれがえらく動くと毎年よく言われている話なんで、精度の向上に向けて取り決めでやってもらいたいという話をしたのであって。

小川淳也衆院議員:きわめて政治的な意図が裏に隠れてるんじゃないですか。「精度を高めろ」「正しい統計を出せ」と表では言いながら、裏では「数字を上げろ」と、「いい数字を出せ」と、暗に政治的圧力をかけているんじゃありませんか。

麻生財務大臣:役所におられたらお分かりと思いますけれど、圧力をかけたら数字が上がるもんでしょうか。

ナレ:麻生大臣は圧力を否定します。野党はさらに。

小川淳也衆院議員:GDP600兆円という大本営発表に一生懸命これ官僚がついてきたんじゃないですか。霞が関を挙げて何とか辻褄をあわそうと。

ナレ:2016年6月には、「600兆円経済への道筋」と題した骨太の方針が閣議決定されます。その成長戦略として列挙した政策の一番最後に、「経済統計の改善」が盛り込まれました。

小川淳也衆院議員:成長戦略の加速ですよ。その中に、まあ分かりますよ、東京オリンピックやろうじゃないか、PFI、TPP、国土強靱化、まあまあ分かりますよ。しかし最後に統計改革、統計改善て書いてあるんですよ。なぜ統計改革を政治主導でやらなきゃいけないんだ。

安倍晋三総理大臣:それは一切ですね、では一切、我々は一言も口を出すなということでしょうか。これは政治主導でないとできないんですよ。まるで私たちが統計をいじってアベノミクスを良くしようとしていると、そんなことできるはずがないじゃないですか。そんなことできるはずがないんですよ。もっと冷静に、なにがなんでも安倍政権が偽装しようとしていたという結論ありきになると正確な議論ができませんから、やはりここは落ち着いて、統計の議論をされたらどうなんでしょうか。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:確かにですね、成長戦略の加速という項目の中に、オリンピックやTPPと並んで経済統計の改善というのが入ってるのはなんでだろう、という気はしますけれども。昨日今日とですね、立憲民主党など野党が国会で追及しているのは、統計の不正がアベノミクスという目標達成を支えるために行われたのではないかということなんですね。野党の主張を詳しく見ていきます。
 主張一つ目です。2015年の10月に、麻生大臣が経済財政諮問会議で毎月勤労統計について「具体的な改善策の早急な検討を」と発言しました。この発言がきっかけとなりまして調査のやり方が見直されて、去年の名目賃金前年比3.3%という高い数字が出たのではないか。つまり、この発言、政府の圧力によって大きな伸び率になったのではないかと野党は主張しているんですね。このことに対して麻生大臣は「正確な基礎統計が出ていないと話にならんから精度向上の話をしたんだと。圧力で数字が上がるものなのか」と反論したんですね。
 そして野党の主張二つ目に参ります。安倍総理が掲げる新三本の矢の一つ、GDP600兆円、これを達成するために成長戦略の一つとして統計不正というものを入れたんじゃないかという主張。これに対して安倍総理は「統計をいじってアベノミクスをよくする、そんなことできるはずがないじゃないですか」と否定しています。
 そして野党の主張三つ目です。毎月勤労統計の調査対象から、去年の一月から日雇い労働者を外しました。この外したことによって賃金が高めに出たのではないかという主張です。これに対して根本匠厚生労働大臣は、日雇いを除外したというのは事実ですということは認めたんですが、どういう影響が出るかは今はお答えできませんと話しました。なぜ外したかは説明していませんでした。

徳永有美アナ:後藤さんはこれらは野党の主張ということになるんですけども、後藤さんはどのようにご覧ですか。

後藤謙次氏:今回立場の違いによってですね、全く真逆になってるんですね。野党らの主張はあくまでもアベノミクス、安倍さんらにとってですね、アベノミクスのGDPの数値が高くなるということは、アベノミクスの成果に直接国民に訴える、有力なある面で材料になるという思いがあった。そっからすべてのものが動いてるんじゃないかというのが、小川さんを中心にした野党らの主張なんですが、一方政府側はですね、これは国際基準に合わせるんだとこれまで全く盛り込まれてなかった、たとえば設備投資の中に研究開発費を入れるとかですね、防衛装備品も入れるとか、そういうものは国際基準に見合った、国際比較をするためには必要なんだと。結果としてGDPが上がる結果になったんだと。それは全く正当性がある。つまり双方立場が違う議論をしてるので、結局我々は委員会見てるとですね、欲求不満のイライラだけが募ると。そういう委員会になってしまっているんですね。その原点はどうなってるのかもう一回探る必要があると思うんですね。

富川悠太アナ:そもそも野党が追及するポイントっていうのは、政権の根幹をなすアベノミクスというところに来ていますから、やっぱり一連の状況を知る当事者たちから話を聞かないと、何があったのか実態解明というところには辿り着かないんじゃないですかね。

後藤氏:そもそも経済財政諮問会議でですね、これだけ税収増えるという予測があるのに、なぜGDPの予測が上がらないんだという不満、あるいは苛立ちみたいなとこから議論が始まってきてるんでね。どうしてもそこには政治的な思惑が絶えず背景にあるんじゃないかと。そういう、まあ確かに感じを与えていることは間違いないと思うんですが、私は今回統計というものが非常にひね渡らない、非常にコツコツした、地味な作業だったんですが、いかに重要かっていうのを今度の国会で再認識させてもらったんですね。ですからこれからですねやはり日本の冠たる統計を作ると、たとえばフリーマーケットのアプリがネット中ありますよね。あれなんかも全然数値に反映されてない。あるいはネットでやる通販も入ってこない。ということになると、実体経済とかけ離れているわけですね。そういうものにぴたっと合わさるためにも、統計はどうあるべきか、それを是非国会の委員会の中でですね、まあ非常に混乱はしていますけれども、逆に混乱が次のステージに上がるビッグチャンスじゃないかなと、そんな感じがするんですけどね。

徳永アナ:統計のしかたも含めて、時代に合う部分、守らなければいけない部分、いろいろあるんでしょうしね。

後藤氏:ただ安倍総理もですね、数字なんか上げられるわけがないよというだけではなくてですね、やはり経済財政諮問会議の最初の出発点は何なんですかともう一度検証を積極的にやってもらいたいと思いますね。

富川アナ:統計の結果が自分たちの実感とせめて合って欲しいなと思いますけどね。

今回の報道の問題点は2点あります。
1点目に事実をまげた報道であった可能性があること。それに伴い放送法に抵触する恐れがあること。
2点目に印象操作と思われる発言があったこと。

1点目ですが、金融緩和を続けて政府主導で経済を回復させてきたアベノミクスですが
失業率はほぼ最低となり、効果を誰もが求める部分もあるはずですが、今回の報道ではそういった成果の部分に一切触れず、統計がアベノミクスの目標と合致するよう歪められてたのはないかという一方的な報道となっていました。

野党の主張ばかりをとりあげ、そういったアベノミクスが上げてきた成果というファクトを報道しないのは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること

また2点目として、印象操作を与える発言がありました。経済を実感でベース評価しアベノミクスの評価をすることです
それが以下の発言です。

富川アナ:統計の結果が自分たちの実感とせめて合って欲しいなと思いますけどね。

景気実感というのは非常に曖昧なもので、バブル期も景気実感があったのは半数程度しかいませんでした。増してデフレからすこし復活していく中で景気実感も感じにくいでしょう。しかしアベノミクスによって失業率を下げてきたのは間違いありません。このような印象で経済を語り政権を批判するのは報道として間違っていると思われます。

視聴者の会は公正な放送を目指して、今後も監視を続けてまいります。

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