2019年2月24日 サンデーモーニング(後編)

2019年2月24日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年2月24日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
米朝首脳会談の開催について報道された部分
辺野古の県民投票と統計手法の変更について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 辺野古の県民投票と統計手法の変更について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
軟弱地盤の改良工事について
 衆院予算委の映像とともに、軟弱地盤の改良工事をめぐる議論が繰り広げられたと伝えられる。本多議員が「試算では2兆5550億円」と述べる映像が流され、沖縄県によると軟弱地盤は埋め立て地区全体の4割に及び、防衛省は約7万7000本のくい打ちを検討しているとアナウンス。これに対し岩屋防衛相は「そこまではかからない」と返答。巨額の費用がかかり、工事が長期化する可能性が浮上し、沖縄県は工事の長期化が普天間基地の固定化につながると反発を強めていると伝えられる。
「今日の県民投票で、どのような判断がくだされるのでしょうか?」とナレーション。

統計不正問題について
衆院予算委の映像とともに、毎月勤労統計の調査方法の変更をめぐり新たな事実が明らかになったと伝えられる。長妻元厚労相が「変なメールが出てまいりました」と述べる映像が流される。調査方法の変更について、8月の検討会ではこれまでの方式を維持する方針でまとまりつつあったが、9月の会合では一転して、部分入れ替えを含め引き続き検討すると結論付けたとアナウンス説明。その後、部分入れ替え方式を導入したことで、賃金の伸び率がプラスに転じたと野党が追及していると伝えられる。結論が変わる2日前に厚労省課長補佐から検討会座長にメールが送られていたとナレーション。
長妻議員が「どんなメールか」との質問に対し根本厚労相が「厚労省から阿部座長に送ったメールだと思います」と答弁。さらに「中身は?」という畳みかけ、根本厚労相が答えに窮する中、安倍総理が「いったん下がって」と促す様子が映し出される。続けて「それで戻れって何ですか総理!」「質問するな指揮権ですか?」「答弁するな指揮権ですか?」と長妻議員が憤る映像が流される。
メールには、委員以外の関係者から部分入れ替え方式で行うべきとの意見があったと記されていたと伝えられる。「その関係者とは?」というナレーション後、根本厚労相が「中江(前)首相秘書官のことだと思われる」と答弁する映像が流される。メールの直前、中江前首相秘書官が姉崎元統計情報部長と面会していたと伝えられる。野党側は、この面会で何らかの圧力があったとみているとナレーション。中江氏は「厚労省が説明に来たという記憶がございません」と答弁の後、国民民主党後藤議員が「本当に記憶がないんですかね」「柳瀬秘書官と同じじゃないですか」と述べる映像が流される。その後、姉崎氏が国会に出席し、中江氏との面会を認めた上で“部分入れ替えもあるのではないか“と答弁する映像が流され、「この提案より前に検討会の結論の修正を決めていたといいます」とナレーション。
「野党側は、こうした答弁に納得しておらず、明日からも引き続き追及する構えです」という言葉を最後にVTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・中江氏は、厚労省の姉崎統計情報部長(当時)との面会について「記憶がございません」と答弁した
・記憶がないという言葉は近年の国会で繰り返されていおり、改めて官僚の姿勢が問われている
森友学園への国有地売却
森友側との交渉記録の廃棄・指示などについて「記憶はございません」
加計学園の獣医学部新設
愛媛県今治市議員との面会について「記憶はございません」

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【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(要約):政治セクターのあまりの自堕落に絶句する。国民との約束が政治世界においてしっかりとなされているのか。この秋また消費税増税で国民に負担を強いる。負担を強いる以上ということで国会議員の議員削減を議論するとこの間まで議論していたが、今度の参院選でまた議席がむしろ増えることになっている。そういう状況の中で、政治セクターだけが浮世離れしている。これから人口が3割減少していく流れのなかで、日本は人口1人あたりの国会議員の数がアメリカの倍。統計不正は上手くいっているように数字が出ないかという誘惑の中にいつの間にか引きこまれ、そこに忖度が掛け合わされるっていう構図になっているんじゃないかという不安を、多くの国民が感じていると思う。

目加田説子氏(全文):この3つ(パネル)がちょうど「記憶がございません」って並んでるんですけれども、こういう、なんていうんでしょうか。今の政治を見てると、民主党が目指していたような、統治システムっていうんですかね。脱官僚主義といいいますか、官邸主導の政治というものが見事に達成されたのかなとちょっと思うんですけれども、こうした政権が長期化すると、こういういろんな問題が出てくるということで、もしそのもとでですね、不正などが行われていたとするならば、あるいは改ざんなどについては、システムを統治してる政治の責任だと思うんですよね。ですから直接指示があったとかなかったとかっていうことは関係ないと思いますし。さらにそのもとで、どういうことが行われていたのかを知らなかったということでも、済まされない問題だと思いますね。

松原耕二氏(全文):何度も同じパターンを見せつけれている感じがしますよね。その中で特徴的なのはですね、やっぱりこの秘書官とか補佐官とか、総理の。つまり、官邸官僚といわれる人の存在がこの政権はいかに力が強いかということなんだと思いますね。官僚というのは忖度をしてるというふう我々はよく言いますけど、実は官邸官僚が忖度する側に回ってるんじゃないかと。つまり官邸官僚が総理の意向を受けて、あるいは忖度することで下に忖度させるという。こういう構図が生まれてるんじゃないかという気もしますね。忖度というのは、ある意味政治家にとってものすごく、まあある意味最も巧妙な統治の方法なわけですね。自分は指示してないと言えるわけですからね。もしそうじゃないというならば、今回こそですね、事実関係をちゃんと明らかにしてほしいというふうに思いますね。

藪中三十二氏(要約):あんまり「記憶にございません」とあれだけ優秀な方々が言うっていうのは、ちょっといかにもいただけないなと感じる。しかし国会自身は、野党もだらしないなと思う。少子高齢化なら少子高齢化、大きなところの議論。それをもっとやってほしいと思う。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):今の政治を見てると、民主党が目指していたような、統治システムっていうんですかね。脱官僚主義といいいますか、官邸主導の政治というものが見事に達成されたのかなとちょっと思うんですけれども、こうした政権が長期化すると、こういういろんな問題が出てくるということで、もしそのもとでですね、不正などが行われていたとするならば、あるいは改ざんなどについては、システムを統治してる政治の責任だと思うんですよね。ですから直接指示があったとかなかったとかっていうことは関係ないと思いますし。さらにそのもとで、どういうことが行われていたのかを知らなかったということでも、済まされない問題だと思いますね。

要旨をまとめると、
・今の政治は民主党が目指していた統治システム、つまり脱官僚主義と官邸主導の政治が達成された
・官邸主導の政治は政権が長期化すると問題が出てくるもので、仮に不正が行われたとしたら、指示の有無に関わらずシステムを統治する政治の責任だ
というものです。

しかしながら、
・脱官僚主義は民主党政権の機能不全を招いた失敗の一つであり、現在の政治に脱官僚主義がシステムとして存在しているという事実はない(政権側もそうした認識はしていない)
・官僚の不正は官僚に原因があり、責任もまたそこにある。指示もないのに政府が悪いとする主張は明らかに非論理的で意味不明な言説と言わざるを得ない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):官邸官僚といわれる人の存在がこの政権はいかに力が強いかということなんだと思いますね。官僚というのは忖度をしてるというふう我々はよく言いますけど、実は官邸官僚が忖度する側に回ってるんじゃないかと。つまり官邸官僚が総理の意向を受けて、あるいは忖度することで下に忖度させるという。こういう構図が生まれてるんじゃないかという気もしますね。忖度というのは、ある意味政治家にとってものすごく、まあある意味最も巧妙な統治の方法なわけですね。自分は指示してないと言えるわけですからね。

要旨をまとめると、
・安倍政権は官邸官僚と言われる人の存在が大きい。彼らが総理の意向を受けて、あるいは忖度することで下に忖度させるからだ。
・政治家にとって「指示してない」といいつつ権力を持てる巧妙な統治体系だ
というものです。

しかしながら、
・官邸官僚(秘書官など)が総理の意向を受けたという根拠はなく、また「忖度」があったかどうかという人間の内心を勝手に断言するのは根拠に欠けた妄言である
・忖度による統治が存在するという主張に何ら根拠はなく、陰謀論に過ぎない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「今の政治は堕落している」「統計不正問題をはじめ政府は真摯に向き合うべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「一つ一つを見れば順当に政治が行われているだけでしかない」「政権の揚げ足取りやネガキャンが問題だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 米朝首脳会談の開催について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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