2019年3月24日 サンデーモーニング(前編)

2019年3月24日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年3月24日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 米大統領選にロシアが関与した疑惑の報告書について報道された部分
② 沖縄でジュゴンが死亡した件と辺野古移設問題について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 米大統領選にロシアが関与した疑惑の報告書について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 米CBSのニュース映像とともに、米メディアがロシア疑惑の捜査終結を一斉に取り上げたことが伝えられる。続けて、ロシア疑惑について簡単なナレーション説明。「全てが全くのでっち上げだ」と反論するトランプ大統領が映し出される。NYでのインタビュー映像に切り替わり、アメリカ国民の男女が「大統領が好きではないしウソつきだと思う」「全て公開されるべき。多くの非合法なことがあると信じている」と答える映像が流される。
ロシア疑惑について、トランプ大統領は一貫して関与を否定してきたと伝えられる。先月行われた米議会公聴会の映像に切り替わり、トランプ大統領の元顧問弁護士が「(トランプ大統領は)知っていたし、指示も出していた。そして嘘をついた」と証言する映像が流される。サンダース議員が「報告書を速やかに公開すべき」と訴える映像の後、バー司法長官は透明性を強調する一方で公表に後ろ向きとの憶測があり、民主党ペロシ下院議長らは全面的な公表を求める声明を発表したとナレーション。
「米メディアは近く捜査の結論をバー司法長官が議会に通知すると伝えており、一般にも公開されるという観測が出ている」とナレーション。トランプ大統領の関与が明らかになれば、弾劾手続きにつながる可能性があると伝えられる。

【アナウンサーによるパネル説明】
ロシア疑惑の概要をパネル説明
・米大統領選でロシア政府が介入し世論操作等を行ったとされる事件
・ロシア疑惑の争点
① トランプ陣営とロシア側の間で共謀があったのかどうか
② 捜査の過程でトランプ大統領がFBIに操作中止を求め司法妨害を行ったのかどうか
・潔白であれば →2020年大統領選に弾み
・関与が認定されれば →当選の正当性が揺らぎ大統領弾劾を求める声が高まるのは必至
・大統領の弾劾には、下院で過半数、上院で3分の2の賛成が必要
・弾劾を成立させるためには上院で20人の造反が必要となり、このままでは難しい状況
・しかし、メキシコ国境の壁建設をめぐる「国家非常事態宣言」を無効とする決議で共和党から12人の造反が出ている

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【コメンテーターの発言】
西崎文子氏(要約):必ずしも民主党が弾劾に積極的とは限らないと思う。側近が何人も逮捕されているので、司法制度の中でトランプ大統領の関与が明らかになってくる可能性もあってくる。この報告書が出たからといってすぐに白か黒か分かるわけではなく、司法・議会によってこの問題に関する追及はまだまだ続いていくと思う。

佐高信氏(全文):トランプ、魔女狩りみたいだって言ったわけですよね。しかし権力を持った者が魔女狩りと言うのはおかしいと思うんですよね。権力ってのは当然批判されるべきですし、それは当たり前のこととして受け止めななきゃならないのに、魔女狩りと言って、こう、それを排除するみたいなのは、私はものすごくおかしいと思うし、やっぱりあの、日本の政治においても、権力批判というのはですね、もっと徹底してやらなきゃならないという感じがしますけど。(関口宏氏:世界的に批判を嫌がるリーダーが増えちゃって、なんか変な雰囲気に世界中がなってますよね)そうですね。批判ってのは、受けるのが当たり前なんで、あって当たり前なんですから。

松原耕二氏(要約):西崎さんのおっしゃるとおり、分かりやすい構図にはならないと思う。20年前のビルクリントン元大統領の弾劾裁判では、訴追した共和党が国民の支持を失った経緯がある。この記憶から民主党は及び腰になっている。しかし、グレーな部分やスキャンダルも沢山出てきて、議会の調査権も強いので、次の大統領選までこの問題の追及はまだまだ続くと思う。

谷口真由美氏(要約):事情をよく知っているコーエンさん(トランプ大統領の元顧問弁護士)が公の場で証言することはすごく大きいと思う。街の声にもあったように、報告書はすべて公開されてしかるべき。ただ、報告書が出たからと言って丸く収まるとは全く思えない。今後この問題を明らかにしていく第一歩なんだろうと思う。

寺島実郎氏(要約):アメリカの有識者達は嫌なものを見てしまったと溜息をついている。杜撰にロシアと連携していた構図を見せられてしまった。しかし弾劾の手続きをするには高いハードルがある。自分たちが選んだ大統領には信頼を寄せ続けるのがこの国の1つの本質なので、弾劾を行うのは壁が厚い。ただ、これは民主主義の正当性に関わる話。そういう意味で絶望的な空気感がある。だからアメリカの民主主義は今が試練なんだと思う。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、佐高氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、佐高氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
佐高氏は今回の報道で、以下のように述べています。

佐高氏(抜粋):トランプ、魔女狩りみたいだって言ったわけですよね。しかし権力を持った者が魔女狩りと言うのはおかしいと思うんですよね。権力ってのは当然批判されるべきですし、それは当たり前のこととして受け止めななきゃならないのに、魔女狩りと言って、こう、それを排除するみたいなのは、私はものすごくおかしいと思うし、やっぱりあの、日本の政治においても、権力批判というのはですね、もっと徹底してやらなきゃならないという感じがしますけど。

要旨をまとめると、
・トランプ米大統領は今回の騒動を魔女狩りだと表現したが、権力を持った側が魔女狩りなどといって批判を排除するのはおかしい。
・権力は当然批判されるべきだからだ。
・日本の政治においても、権力批判をもっと徹底してやっていくべき。
というものです。

しかしながら、
・「魔女狩り」とは史実において特定の属性を持つ集団への私刑行為であり、権力の有無に関わらず対象になりうる。したがって、権力者が魔女狩りに合わないとする主張は明確な誤りである。
・権力は確かに批判的にみられるべきだが、根拠のない誹謗中傷や批判されるにあたらないケースなど「批判ありきの批判」を正当化するのは事実に基づかない偏った報道であると言わざるを得ない。
・日本においてこうした批判が徹底されていないとする主張には根拠がない。
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での佐高氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「トランプ米大統領の疑惑は依然として晴れていない」「この疑惑を追及していくべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「アメリカ国民はこの問題を執拗に取り上げるメディアに辟易している」「報告書提出の段階で疑惑は晴れたはずだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 沖縄でジュゴンが死亡した件と辺野古移設問題について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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