2019年8月18日 サンデーモーニング(後編)

2019年8月18日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年8月18日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 韓国の光復節で文大統領の演説について報道された部分
② 「風をよむ」にて終戦の日について報道された部分
③ ロシアの爆発事故で放射能が検出された件について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 「風をよむ」にて終戦の日について報道された部分における
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ ロシアの爆発事故で放射能が検出された件について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):戦後74年。日本は敗戦から立ち直って、経済発展を遂げて繁栄をし、かつ平和を守ってきた。なのにいつまで言われなくちゃいけないんだという気持ちは分からなくはないんですよね。ただし、例えば朝鮮半島から見ると、戦後その、ヨーロッパではドイツが分断されたわけですよね。ところが、アジアでは植民地支配から解放された朝鮮半島が分断されて、いまだに統一されてないわけですよ。しかも日本の経済成長ってのは、朝鮮戦争が跳躍台だったんですね。かつ、日米安保が日本のその、外交安保の基軸だって言いながら、負の側面ってのは全部沖縄に押し付けてるわけですよ。つまり、周縁部に全て押し付けて繁栄だけをむさぼり食ってきたんじゃないかっていうようなところも、謙虚に日本は考えなくちゃいけないと思います。

要旨をまとめると、
・戦後日本は繁栄してきたので、戦争中のことを言われたくないという気持ちは分かる。だが、東西ドイツは統一されたのに朝鮮半島は分断されたままで統一されていないなど、戦争中の爪痕は深い。
・日本の経済成長のために朝鮮戦争を跳躍台として利用したり、日米安保で負の側面を全部沖縄に押し付けたり、周縁部にすべてを押し付けて反映してきた歴史が日本にはある。

というものです。

しかしながら、
・朝鮮半島の分断は冷戦下の米ソ対立がその要因であり、その後の南北未統一を含め日本はまったく関係がない。
・日本が経済成長のために朝鮮戦争を意図的に起こしたわけではないため、日本に責任がある、負担を押し付けたなどという主張は事実とは言えない。また日米安保の負の側面は沖縄だけではなく様々な場所に存在し、日本政府としてもできる限りの支援を行っているため、周縁部にすべてを押し付けてきたという主張は事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ ロシアの爆発事故で放射能が検出された件について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
 ロシア北部の軍事施設で、今月8日、5人が爆発事故で死亡した。ロシア気象当局は現場の放射線量が一時、最大で通常の16倍に上昇したと発表した。国営の原子力企業「ロスアトム」は、事故は小型原子炉の開発中に起きたと説明し、新型兵器の開発に関係があることも示唆した。アメリカのトランプ大統領は、原子力を推進力とする巡航ミサイルの実験失敗によるものだと指摘している。

【コメンテーターの発言】
青木理氏(要約):ほぼ無限の飛行が可能な巡航ミサイルの開発ではないか。ロシアはアメリカのミサイル防衛システム(MD)をなんとか突破しないと、自分たちの武器が無力化されてしまうという危機感をもっていていろんな開発をしている。アメリカもMDに加えて小型核を作ろうとしていて、INFからも脱退した。ロシアとアメリカがまた軍拡競争の局面に入ってきている。

堀川恵子氏(全文):やっぱりあの、これからアメリカ・ロシアの軍拡競争ってますます激しくなっていくと思うんです。やっぱその背景の一つにはさっき青木さんもおっしゃったようなINF。中距離のミサイル、核ミサイルを今までは作らせない、作らないってことでやってきたことを放棄しちゃったわけですよね。だからまあやってみれば作り放題になると。で、そうなってくると、アメリカが、これからターゲットにするのは、中国でありロシア。で、中距離のその核ミサイルの戦略を立て直していくためには、もう東アジアが主戦場になることはほぼ間違いない。で、そういうときに、じゃあその射程範囲から考えてどこに基地を置くのがいいのかっていうことが上がってくると、ハワイとかグアムはもちろんですけれども、やっぱりあの日本の米軍のっていうのがですね、もう専門家の間では、もうここが拠点になるのではないかっていうことが言われてるわけなんですよね。で、これだけじゃなくて、例えばもう北朝鮮で、その飛翔体、まあ飛翔体ってなんかいつの間にか言葉が変わっちゃいましたけど、あれミサイルですよね。それをこうぼんぼん本当に飛ばしてても、アメリカがうちに来ないならいいよっていうことで言わないもんだから、日本もなんかいつの間にか、一時は国難って言ってたのがトーンダウンしちゃってますよね。本当に今まではアメリカの核の傘の下にいれば大丈夫だって言われてたんですけれども、もはやその傘も折れかけてるっていうか敗れかけてるっていうか、はい。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、堀川氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

———————————————————————————————————————-
1、堀川氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
堀川氏は今回の報道で、以下のように述べています。

堀川氏(抜粋):やっぱりあの、これからアメリカ・ロシアの軍拡競争ってますます激しくなっていくと思うんです。やっぱその背景の一つにはさっき青木さんもおっしゃったようなINF。中距離のミサイル、核ミサイルを今までは作らせない、作らないってことでやってきたことを放棄しちゃったわけですよね。だからまあやってみれば作り放題になると。で、そうなってくると、アメリカが、これからターゲットにするのは、中国でありロシア。で、中距離のその核ミサイルの戦略を立て直していくためには、もう東アジアが主戦場になることはほぼ間違いない。で、そういうときに、じゃあその射程範囲から考えてどこに基地を置くのがいいのかっていうことが上がってくると、ハワイとかグアムはもちろんですけれども、やっぱりあの日本の米軍のっていうのがですね、もう専門家の間では、もうここが拠点になるのではないかっていうことが言われてるわけなんですよね。で、これだけじゃなくて、例えばもう北朝鮮で、その飛翔体、まあ飛翔体ってなんかいつの間にか言葉が変わっちゃいましたけど、あれミサイルですよね。それをこうぼんぼん本当に飛ばしてても、アメリカがうちに来ないならいいよっていうことで言わないもんだから、日本もなんかいつの間にか、一時は国難って言ってたのがトーンダウンしちゃってますよね。本当に今まではアメリカの核の傘の下にいれば大丈夫だって言われてたんですけれども、もはやその傘も折れかけてるっていうか敗れかけてるっていうか、はい。

要旨をまとめると、
・INF全廃条約がなくなったことで米露が軍拡競争に入る。アメリカのターゲットは中国とロシアなのでアジアに中距離ミサイルを置くことになるが、日本にも設置されるはずだ。
・北朝鮮のミサイルをアメリカが認めてしまったので、日本もトーンダウンしている。アメリカの核の傘はもはや折れかけており信用できない。

というものです。

しかしながら、
・INF全廃条約に中国は加盟しておらず、中国が中距離ミサイルを作り放題という状態があった。アメリカは中国を巻き込んだ形での軍備管理を目指しているため、中国とロシアを狙った軍備増強が狙いだとする指摘は事実に基づいていない。
・北朝鮮の中距離ミサイルの実験をアメリカが容認したからといって、アメリカが日米同盟を放棄したわけではない。アメリカの核の傘が機能しないという堀川氏の主張は明らかに事実に反している。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での堀川氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

———————————————————————————————————————-
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「INF全廃条約が廃止されたせいで米露が軍拡競争に突入している」「日本はアメリカの核の傘に頼っていられないかもしれない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「INF全廃条約の枠組みに中国を加えるためのもので米露の合意の上実施されている」「日米同盟は日本の安全保障政策の基軸だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 韓国の光復節で文大統領の演説について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風をよむ」にて終戦の日について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事