2019年3月24日 サンデーモーニング(後編)

2019年3月24日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年3月24日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 米大統領選にロシアが関与した疑惑の報告書について報道された部分
② 沖縄でジュゴンが死亡した件と辺野古移設問題について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 沖縄でジュゴンが死亡した件と辺野古移設問題について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
・沖縄県北東部で国の天然記念物ジュゴンの死骸が発見された
・こうしたなか、玉城知事は3月19日に安倍総理と会談
・玉城知事は、政府が辺野古移設で25日から新たな区域への土砂投入を予定していることについて、工事を中断して話し合うことを求めた
・玉城デニー知事「県民投票の件、県民大会が開催されたことにあっては、ここは対話の時間をぜひ作るべきではないかと・・・」
・しかし政府側は、あくまで工事を続行すると回答
・県は22日、埋め立てをめぐる国の措置は違法だとして国を提訴している

【コメンテーターの発言】
松原耕二氏(全文):玉城知事は本当、対話、対話、対話と。ずっと言い続けているんですね。総理に対して。注目してるのは、まあ、玉城知事は日本、アメリカ、そして沖縄を加えた新たな三者機関を作ろうじゃないかと。そこで基地問題を話し合おうじゃないかと提案してるんですね。これ20年以上前にサコ合意というのがあったんですが、それに、日米でやったんですがが、そこに沖縄を入れるような形で新たなものを作ろうというんですけど。まあ政府は乗り気ではないわけですね。ただ玉城知事はこれからいろんな手を打ってくると思います。参加を促すためにですね。話し合おうと言ってるわけですから、これすら拒否するようだったら、どこが民主主義なんだという気がいたしますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、VTRの内容に視聴者へ誤った認識を与える恐れのある内容が含まれている
2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、VTRの内容に視聴者へ誤った認識を与える恐れのある内容が含まれている
今回の報道で、以下のような構成のVTRが流れました。

(1)沖縄県北東部で国の天然記念物ジュゴンの死骸発見
(2)こうしたなか、玉城知事は3月19日に安倍総理と会談、辺野古基地移設工事の中断を要求

しかしながら、
ジュゴンの死骸が発見されたのは沖縄本土を挟んで辺野古の反対側で、ジュゴンの死亡と辺野古基地移設工事に因果関係があると断言できる根拠は存在しません。

このような構成は、ジュゴンの死亡と辺野古基地移設問題とを並べることで、視聴者に対し2つの問題にあたかも因果関係があるかのように印象付ける悪質な偏向報道と言わざるを得ません。

以上のことから、今回のVTRは事実にそぐわないものである恐れがあり、視聴者に事実と異なる印象を与えるものです。したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):玉城知事は本当、対話、対話、対話と。ずっと言い続けているんですね。総理に対して。注目してるのは、まあ、玉城知事は日本、アメリカ、そして沖縄を加えた新たな三者機関を作ろうじゃないかと。そこで基地問題を話し合おうじゃないかと提案してるんですね。これ20年以上前にサコ合意というのがあったんですが、それに、日米でやったんですが、そこに沖縄を入れるような形で新たなものを作ろうというんですけど。まあ政府は乗り気ではないわけですね。ただ玉城知事はこれからいろんな手を打ってくると思います。参加を促すためにですね。話し合おうと言ってるわけですから、これすら拒否するようだったら、どこが民主主義なんだという気がいたしますよね。

要旨をまとめると、
・沖縄は今後日米を交えた三者機関を作ることを提案している。
・日本政府は乗り気ではないが、玉城知事はこれから様々な手を打ち政府に交渉を要求するだろう。
・これすら拒否するのなら政府がしていることは民主主義とは言えない。
というものです。

しかしながら、
・沖縄基地問題には当然国防という側面が存在し、国防は日本政府の管轄領域である
・辺野古移設に関しては政権交代前を含め実に様々な経緯を経て決定がされたもので、話し合いの段階はすでに過ぎている
・政府は法的に正当な手続きを通して今回の基地移設を進めており、民主主義とは言えないという批判は当たらない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍政権は県民投票をはじめとする沖縄の民意に向き合うべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「辺野古移設に関する県民投票は県民の支持を得たとは言い難い」「県の条例による独自の投票で公選法や国民投票法の制約を受けず、公正な選挙が行われたとは言えない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 米大統領選にロシアが関与した疑惑の報告書について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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