2019年3月27日 報道ステーション

2019年3月27日 報道ステーション

3月27日の報道ステーションのレポートです。
この日の放送では統計不正の問題などがありながら国会での議論が停滞しているという論調で放送がなされていました。

統計不正の問題で野党は「景気は拡大し続けているといいながら、実質賃金が下がっている」としきりに主張していました。
今回は
1.この野党の事実か
2.野党のあり方について多くの論点を取り上げた放送であったか
この2点について検証していきます。

まずは放送内容から確認していきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:続いては国会です。前半国会最大の与野党、争点となっていたのは統計不正問題ですよね。ところがですね、組織的な隠蔽はあったのか、ですとか、官邸の圧力はあったのか、などといったいろんな疑問が、宙ぶらりんになったままなんですね。そんななか今日、2019年度の予算が成立しました。総額は過去最大、101兆円です。

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【VTR】
ナレ:早々と予算が成立し、笑顔の安倍総理です。午前の委員会では。

自由党 森ゆうこ参院議員:良いときはアベノミクスのおかげ、悪くなると中国がなんたらかんたら。さっぱりわからないんですけれども。景気は回復してるんですか、回復してないんですか。

安倍晋三総理大臣:地域地域においてはですね、そうでないと感じる方が当然たくさんいらっしゃるんだろうと。より多くの方々に景気回復の実感を持っていただけるよう努力を重ねていく。

立憲民主党 杉尾秀哉参院議員:現実との乖離があまりにも甚だしい。「成長と分配の好循環によってアベノミクスは今なお進化を続けている」。ものすごく虚ろに聞こえませんか。

安倍晋三総理大臣:それは虚ろに聞こえないと思います。

ナレ:今日は、2019年度予算案の最後の質疑でしたが、最大の焦点だったはずの統計不正問題にからむ追及はほとんどありませんでした。その統計不正問題、多くの疑問が置き去りになったままです。「去年の実質賃金の伸び率が実際にはマイナスになるのでは」という野党の追及に対し――。

根本匠厚生労働大臣:機械的に消費者物価で割り戻すと言うことで、その前提の限りにおいては、それは今委員がおっしゃられた通りだと思います。

ナレ:いったん野党の試算を認めたのですが、昨日になって政府は当面、数値は算出せず、公表しないとしたのです。毎月勤労統計の不正を巡っても。

厚労省 特別監察委員会 樋口美雄委員長:組織的隠蔽が、要するにそれによってあったということはできない。

ナレ:厚労省の特別監察委員会は、「嘘はついたが隠蔽ではない」と、結論づけました。再調査を求める野党に、総理。

安倍晋三総理大臣:当該報告書は中立的・客観的な立場から、検証作業を行っていただいた結果であると考えているところでございます。

ナレ:野党としては、統計不正問題で官邸の圧力をあぶり出したいところでしたが、宙に浮いたまま前半国会が終わることになります。

国民民主党 玉木雄一郎代表:自分の生活や不安に寄り添うような質問もしてほしい。実際そういう声もいただきましたので。

立憲民主党議員:統計と言われても一般の人にはピンとこないよね。我々国会議員でも分からない。難しいし。

ナレ:そんななか、消費増税対策およそ2兆円を含む、2019年度予算が成立しました。当初予算としては初の、100兆円を超す大型予算になります。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん前半国会が呆気なくといいますか、淡々と終わった印象なんですけれども。

後藤謙次氏:非常に残念でしたね。今度の国会は大きな意味で、国権の最高機関・国権の権威回復・行政監視機能、これを国会は再び取り戻すと、そういう国会だった筈なんですが、それは何もできずに形骸化したままに前半終わってしまったと。最大の要因はですね、政府側が私たちが決めたことは1ミリたりとも動かさないと。頑ななまでにそれを貫き通す。この姿勢が一番問題ですね。それに対して対野党。野党側もですね、まったくふがいなく終わってしまった。とりわけ2017年の民進党の解体から始まったあの混乱がまだ引きつづいてですね、この統計不正という格好の標的がありながら、ずるずるずるずる時間だけが経過していってしまったと。このあと統一地方選挙がありますから、さらに後半国会やったときにですね、そういう自覚を持って、きちっと国民の付託に応えると。そういう国会にしてもらいたいと思いますね。

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放送をまとめると
野党の追求も弱く、政府与党の思う通りになってしまったという論調で放送されていました。
まずは以下のナレーション部分を検証していきます。

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ナレ:今日は、2019年度予算案の最後の質疑でしたが、最大の焦点だったはずの統計不正問題にからむ追及はほとんどありませんでした。その統計不正問題、多くの疑問が置き去りになったままです。「去年の実質賃金の伸び率が実際にはマイナスになるのでは」という野党の追及に対して。
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この実質賃金の数値だけで景気動向全体を見ることはできないと言えます。
野党は「アベノミクスで景気を回復していると言いながら実質賃金は下がっている、アベノミクス隠しだ」、などと今回の統計不正問題を批判していました。

そこで、この実質賃金について解説します。
実質賃金とは物価の影響を排除し、実際にどれくらいのものが買えるのかという数字になります。
例えば賃金が10%上がっても物価が10%上がれば実質賃金は伸びたことになりません。
ここでいう賃金とは平均賃金のことです。
ではなぜこれが景気動向に必ずしも関係しないのか。
それはアベノミクスによって新たに働き始める人が増えたため、平均賃金でみると賃金は上昇しにくいと言えるからです。
アベノミクスにより、2012年から新たに約300万人もの人が働き始めたと言われています。
彼らは賃金が0円からのスタートなので、彼らの賃金は確実に増えていますが、平均で計算すると上昇は見られません。
つまり実際にもらう賃金は増えていても、平均賃金・実質賃金がプラスにならないことがあるのです。

このような解説を抜きにアベノミクスをよく見せるために、実質賃金をプラスに見せるために、統計不正をしたというのは事実に反する可能性があるのです。
これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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次に野党のあり方についてのスタジオ解説が適当なものであるか検証していきます。
まずはスタジオ解説を振り返ります。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん前半国会が呆気なくといいますか、淡々と終わった印象なんですけれども。

後藤謙次氏:非常に残念でしたね。今度の国会は大きな意味で、国権の最高機関・国権の権威回復・行政監視機能、これを国会は再び取り戻すと、そういう国会だった筈なんですが、それは何もできずに形骸化したままに前半終わってしまったと。最大の要因はですね、政府側が私たちが決めたことは1ミリたりとも動かさないと。頑ななまでにそれを貫き通す。この姿勢が一番問題ですね。それに対して対野党。野党側もですね、まったくふがいなく終わってしまった。とりわけ2017年の民進党の解体から始まったあの混乱がまだ引きつづいてですね、この統計不正という格好の標的がありながら、ずるずるずるずる時間だけが経過していってしまったと。このあと統一地方選挙がありますから、さらに後半国会やったときにですね、そういう自覚を持って、きちっと国民の付託に応えると。そういう国会にしてもらいたいと思いますね。
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そもそも野党とはいっても政権奪取を目指して党の運営に当たるべきです。
この点で野党でまとまろうともせず、政権奪取を目指していないとも思われる立憲民主党は野党として不適であると思われます。

55年体制の社会党も野党として機能していたとは言えません。
万年野党として政権を取る気もなく、腐敗を生みました。
立憲民主党はその道を再び歩んでいると言わざるを得ません。

また後藤氏の解説で「統計不正という格好の標的」という表現がありましたが、野党の仕事は必ずしも与党に反対することだけではありません。

常に是々非々で議論を積み重ね、より良い日本を作っていく。
これがどんな政党にも求められていることのはずです。
このような野党のあり方について論点を取り上げずに、放送を取り上げることは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けて参ります。

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