2019年4月4日 報道ステーション

2019年4月4日 報道ステーション

4月4日の報道ステーションのレポートです。
この日の放送では塚田国交副大臣の「忖度」発言を追求するという形で報道されていました。

塚田副大臣が安倍総理と麻生副総理に忖度して九州と下関を結ぶ道路を作ろうとしていたのではないか、そうだとすれば問題だ、このような論調で放送されていました。

野党も塚田国交副大臣の辞任を要求するなど、厳しい追及がなされていました。
今回の発言が問題であることには変わりませんが、それが政治的に公正な追及であったか、というのは別問題です。
そこで今回検証するのは
1. 政治的に公平な放送であったか
2. 多くの論点を取り上げた放送であったか
この2点です。

まずは放送内容を確認します。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:安倍総理と麻生副総理に忖度をしたという発言をした問題で、こちら塚田国土交通副大臣は、今日も事実ではなかったと釈明に追われました。しかし野党からは「忖度があったと思わざるを得ない」と追及が相次ぎました。

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【VTR】
国民民主党 磯﨑哲史参院議員:誰に対してどんな忖度をしたとご発言をされたんでしょうか。

塚田一郎 国交副大臣:安倍総理・麻生副総理のことについて忖度をしたという趣旨の発言をしてしまいました。それは事実と異なるということで。

ナレ:塚田副大臣は今日も謝罪を繰り返しましたが、野党の追及は下関北九州道路の実現に向けた総理の関与にまでおよびました。

立憲民主党 小川敏夫参院議員:この道路の設置について具体的な政治活動をしたことはありませんか。

安倍晋三総理大臣:私の父の時代からそういう活動を、地域の議員が全部集まって活動していたと記憶しています。会合にはもちろん出席したことがあります。

共産党 仁比聡平参院議員:「下関北九州道路の早期実現に向けての要望書」というのがございます。安倍総理のお名前があるんですよ。

ナレ:要望書とはこちらです。確かに安倍総理の名前も記されています。

安倍晋三総理大臣:私自身そういう要望書が出されたということは実はいま拝見するまで知らなかったのでございますが、名前が載っているということだけなんだろうと。総理大臣として陳情する立場にはそもそもないわけでございまして。

ナレ:塚田副大臣に要望したという吉田参院幹事長と大家参院議員をめぐっても。

共産党 仁比聡平参院議員:去年の10月25日に総理官邸で、吉田幹事長と大家参議院議員と会談をしていらっしゃいます。

ナレ:大家参議院議員は自身のホームページで、”総理からは「早期建設に向けた活動をしっかりと取り組むように」とお言葉を頂きました。”と書いています。

共産党 仁比聡平参院議員:これは忖度というよりあからさまな指示なんじゃないですか。麻生大臣にお尋ねいたしますが、「下関北九州道路 整備促進期成同盟会」の顧問として名前を連ねておられるんじゃありませんか。

麻生太郎副総理:正直、地元のそういったものに名前がよく載っかるというのは、その他にもこれに限らずいろいろと、地元選出の国会議員としては出ているんだと思います。

ナレ:自民党内からは。

茂木敏充 経済再生担当大臣:”忖度”といま使ってはいけない言葉を使っている。

ナレ:今月は統一地方選が各地で行われています。公共事業を所管する国交省副大臣の発言は、有権者への利益誘導と取られかねません。

社民党 又市征治党首:利益誘導で票を集めようなどという、こういうことはあってはならない。

安倍晋三総理大臣:本人も「事実と異なる発言」と認めております。まずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております。

ナレ:改めて塚田副大臣を罷免しない考えを示しました。

立憲民主党 蓮舫副代表:安倍総理がなぜ罷免しないのかが分かりません。

ナレ:与党内からも。

自民党 西田昌司参院議員:自分の立場を考えれば全く馬鹿なことをやったと思っています。きちんと矜持は示すべきだと思っています。いろんな意味で。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:安倍総理はあくまで塚田副大臣を罷免することはないということなんですけども、このままで済むんでしょうか。

後藤謙次氏:そうなんですね。いま自民党幹部に取材しましたが、困ったというのが本音なんですね。つまり本来なら完全にアウトなんですけども、総理が辞める必要がないと言ったために、身動きが取れなくなってしまってる。ただ今回のケースは非常に特殊なケースであると。条件が二つあるんですね。一つは音声テープが残ってるっていうことなんです。これが残ってる限りですね、総理・副総理・忖度という、三つのキーワードが連呼されてしまう。

徳永アナ:はっきり言ってますもんね。

後藤氏:そうなりますと、今の安倍自民党政権、どんどん日々ダメージが増えていくと。そういう状況になりますね。それともう一つは、塚田副大臣自身がですね、この夏の参議院選挙でもう一度立候補すると。そういう予定なんですね。つまりこの時点でどういう進退判断をしたら本人にとって有利なのか。それは塚田さんご自身が考える話なんですが、これに関連してですね、自民党の幹部は月曜日に最終判断したいと。それともう一つ、𠮷田参院幹事長の席に、道路局長が同席したんじゃないかという話も出てましてですね、となるとその道路局長は必ず面談記録を残さなければならない。その面談記録に我々の全く知らない事実が記されてるとなると、また違う展開になると。ですからいずれにしてもですね、来週の月曜日には自民党執行部は判断すると。そういう局面にあるんだと思いますね。

徳永アナ:じゃあまだどうなるかはちょっと分からないという感じですかね。

後藤氏:分からないというより、徐々に厳しい状況に入ってきてるんじゃないかっていう気がしますね。

富川悠太アナ:どういう対応を取るかで統一地方選への影響っていうのが考えられますよね。

後藤氏:影響もありますしさらにその先に参院選がありますし、当事者でもあるというところが非常に難しい局面にありますね。
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塚田副大臣とそれを擁護する安倍総理を批判・追及するという放送内容であります。

塚田副大臣は実際に忖度していないといっていますが、それが事実であっても今回の発言は誤解や疑念を招くという点から問題であると言わざるを得ません。

しかしそれを追及し、辞任まで求める立憲民主党はどうでしょうか?
今回追及していた蓮舫立憲民主党副代表は二重国籍の問題に関して説明責任を果たしてきたのでしょうか?
2004年の選挙公報で台湾籍から帰化したという経歴詐称という明らかな違法行為の証拠が出てきてもその責任をとったとは到底思えません。

また立憲民主党辻元清美国対委員長は2002年に秘書給与をだまし取ったとして詐欺罪の有罪判決を受けています。
その責任を取らないばかりか、執行猶予期間中にも選挙へと出馬しています。

このような明らかな違法行為を働き、かつ責任をとろうとしない野党議員のことを取り上げず、問題発言とは言えるものの違法とまでは言えない塚田副大臣のことばかりを取り上げるのは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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2点目として取り上げる検証点は下関北九州道路と塚田副大臣の関係についてです。
この日の放送で報道ステーションが問題視しているのは、塚田副大臣は安倍総理と麻生副総理に忖度して道路を作ろうとしたのは、権力者への忖度であり問題だ、という論調で放送されています。
しかしこの下関北九州道路は塚田副大臣の忖度によって持ち上がった話ではないといえます。。
塚田副大臣の初当選は2007年ですが、下関北九州道路の構想が持ち上がったのは1980年代後半の「北九州地域産業・港湾都市計画調査」がはじめであり、続いて1991年に関門海峡道路整備促進期成同盟会が設立されました。

この一点からも塚田議員の利益誘導とはいえません。

道路の必要性としては関門海峡を横断する交通網が少なく、渋滞を招いていることや地震などの不足の事態が発生した時の代替交通網が存在しないこと、が挙げられます。

以上のように地域からも必要とされている道路であり、長年求められてきた道路なのです。

このような論点を取り上げず塚田副大臣の発言のみを取り上げての放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けて参ります。

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