2019年4月9日 報道ステーション

2019年4月9日 報道ステーション

4月9日の報道ステーションのレポートです。
この日は、幼児教育無償化に関する報道がなされていました。

日本は教育に対する公的支出が少なく、教育費用が少子高齢化を助長してきたとも言えます。その中で今回のような政策打たれることは意味のあることであると思われます。

しかし、この日の放送では幼児教育の無償化とは関係のない話が主な論点として取り上げられていたのです。

そこで今回検証するのは2点です。
1. 様々な論調を取り上げて放送がなされていたか
2. 事実に基づいた報道がなされていたか
この2点について、検証していきます。

まずは放送内容から確認してきます。

——-
【スタジオ】
徳永有美アナ:子供を預けた先で、安全性を心配する声が上がっています。

——–
【VTR】
藤井真希氏:子供を預かるというのは命を預かるということなので、無償化というお金の面だけを進めるというのは――。

——-
【スタジオ】
徳永有美アナ:幼稚園や保育園などで、利用料を無償化する法案が衆議院を通過しました。

——–
【VTR】
ナレーション:この法案は、0歳から2歳の子供がいる低所得世帯と、3歳から5歳の子供がいるすべての世帯を対象に、10月から保育園や幼稚園などの利用料を無償化するものです。保育士の数などで国の基準を満たしていない認可外の保育施設なども無償化の対象となります。

立憲民主党 阿部知子衆院議員:保育の質の担保されない認可外保育施設にまで支給対象が拡大されました。良質かつ適切とはほど遠いものまで取り込んだのです。

ナレ:野党は保育の質などについて指摘しましたが、与党などの賛成多数により、衆議院を通過しました。今の国会で通過する見通しです。

——-
【スタジオ】
徳永有美アナ:この法案を巡って懸念されているのが、子供の安全をどう担保していくのかということです。こちらの女性です。まだ幼かった長女を預けて、事故で亡くしてしまいました。今回の法案をどう受け止めているのでしょうか。

——–

【VTR】
藤井真希氏:見て。つーちゃんのお花きれいやろ。

ナレ:藤井真希さんは、長女のさつきちゃんを5年前に亡くしました。

藤井真希氏:すごいね。こんなに笑うんや。

ナレ:さつきちゃんに異変が起きたのは、2010年、子供を預かってくれる自治体の事業「ファミリー・サポート・センター事業」を利用したときです。自身が病院に行く間、自治体が紹介してくれた40代の女性に預けたのですが、一時間後、迎えに行くとさつきちゃんは心肺停止状態になっていました。

藤井真希氏:「息してますか」と聞いたら「してません」。「心臓動いてるんですか」と聞いたら「今は動いてません」って。言われたのは病院に到着する直前。

ナレ:事故直後、さつきちゃんを預かった女性は「泣いていたので、よく寝ると思ってうつぶせ寝にしていた」と話したと言います。意識は回復せず、3年後、さつきちゃんは亡くなりました。藤井さんは事業を運営していた自治体に対し、二度と同じような事態が起きないよう声を上げてきました。

藤井真希氏:これはもうほんとに、事故の当日の朝です。このぶら下がってるおもちゃが、ずっとぱしゃんぱしゃんしかできなかったんですけど、たまたまこの日にぱっと掴むことができて、それがすごい嬉しかったみたいで、ずっとそのまま私の方をこうずっと「お母ちゃん」って見てくれてたんですよ。まさかこれが最後の笑い顔になるとは思ってへんかった。良い写真なんですけど、すごく悲しい写真。

ナレ:事故があったあの日、藤井さんが利用した通称“ファミサポ事業”は多くの自治体が導入していて、今回の無償化の対象となります。

藤井真希氏:そもそもすごく認可に比べて緩い基準の施設や事業も、一律で無償化ですよという枠組みにするのはすごく不安だなぁという思いがあります。すべて安全ですよというお墨付きを与えることに取られかねないんじゃないかな。

ナレ:藤井さんは認可外の施設やサービス、そのものに反対しているわけではありません。今一番訴えたいこととは。

藤井真希氏:認可外保育施設だったり、ベビーシッター、ファミサポだったりを利用せざるを得ない方がいるという状況のままで無償化という補助というか、お金の面だけを進めるというのは順番がどうなのかなと思うところがあります。そちらの基準をできるだけ認可に近づけていただくか、認可保育所に希望する方がみんな入れるように、併せて進めていただきたいと思うのと、ほんとの公平性って考えたら子供の安全性の担保だと思うので、公平性とおっしゃるのであれば質を公平にもっていっていただきたいなと思ってます。

——-
【スタジオ】
徳永有美アナ:子供を預けるということは、命を預けるということであって、預ける親にとっては毎日本当によろしくお願いしますと心から思ってるわけで、だからこそ安全とか安心っていうのは必ずやっぱり大事にしてほしいと思うんですよね。

後藤謙次氏:そうですね。そういう意味ではこの法律、すべてが批判の対象ではないんですが、やはり優先順位というのがあるなと思いますね。やっぱり優先順位第一っていうのは子供の安全をいかに守るのか。今回は安倍総理が2017年の衆議院選挙の時に、3歳から5歳までのすべての子供たちに対して無償化しますよという公約から始まってるわけですね。ですから認可外の施設においてもその対象になってしまう。となると、施設の質が上がらないままにどんどん対象だけが拡大するんじゃないかという懸念を抱えたままスタートするわけですね。しかもこの慌ただしい時期にこの法案を急いで成立させようというのは、やはり10月までに自治体の準備を間に合わせると。そういうある面で非常に行政サイドの立場に立った、そういう進め方をしているわけですね。そういう意味ではきちっと、やはり今は待機児童、きちっとした施設に入りたいという待機児童は2万人いるわけですね。まず施設をきちっと作る。そして保育士たちの皆さんの待遇を改善する。そういう本流から行かなきゃいけないのが、最初に安倍さんの公約ありきという、そんな政策だった気がしますね。

徳永アナ:やっぱり保育士の方々の負担というのも相当大きなものがあると思いますよね。
——–

放送内容をまとめると、以下のような内容でした。

1. 幼児教育を無償化する法案が衆議院を通過する
2. 子どもの安全は担保されない点を取り上げる
3. 子どもを事故で亡くした親を取り上げる
4. 優先順位として子どもの安全を担保させるのが先という解説がなされる

第一に、子どもの幼児教育を無償化するということと、子どもの安全をいかに担保するかという話は別の話であると言えます。
無償化をせずに、これまで通りのことをしても子どもの安全を担保するのは難しいと言えるでしょう。
これまででも、子どもの給食が出されなかったといった事件が起こっています。

最近でも2019年2月20日あかつき保育園(認可保育所、福岡市東区)で働く8人の保育士が、長期間にわたって多くの園児に虐待行為を働いていたという事件がありました。

今回の幼児教育の無償化の本質は少子化高齢化を食い止め、子どもを育てやすい環境を作り上げることです。

この論点を取り上げずに報道がなされていたことは、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

——————————————————————————–
放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
——————————————————————————–

次は、事実に基づいた報道がなされていたか、という点について検証していきます。

検証する発言は、待機児童に関する解説部分です。

まず事実としてあるのが、待機児童が多いのは東京を中心とした都市部である、ということです。
待機児童が最も多い東京では約8500人の待機児童がいるとされております。
そのほか待機児童が多いのも、関東圏・関西圏の都市部が多くなっています。

つまり、この待機児童問題は政府が一括して対策を打つ問題というよりは、自治体が解決すべき問題という側面が大きいのです。都市部の人口を地方に移すことも現実的ではありませんし、保育士の数を一気に増やすというのも難しいです。

そういった地方自治の問題よりも、政府が一括して幼児教育を無償化して日本全国の家庭に恩恵がある政策を打つのは妥当であると思われます。

今回の幼児教育無償化と待機児童問題は無関係ともいえる話なのです。

にもかかわらず、優先順位が違うなどと、この問題を取り上げるのは待機児童が地方自治の問題であるという点を無視した放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

——————————————————————————–
放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
——————————————————————————–

視聴者の会は公正な放送を目指して監視を続けてまいります。

報道ステーションカテゴリの最新記事