2019年4月28日 サンデーモーニング(後編)

2019年4月28日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年4月28日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 日米首脳会談と露朝首脳会談について報道された部分
② 衆院補選で自民2敗の件について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
① 日米首脳会談と露朝首脳会談について報道された部分
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
② 衆院補選で自民2敗の件について報道された部分
となります。

では、さっそく①の検証3をみてみましょう。

3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):ちょっと前まで、トランプ大統領と100%共にあって、最大限の圧力をかけるんだと言ってたんですよ。ところが、トランプさんがコロッと変わって米朝やったら、今度は向き合うんだと言ってるんですね。僕これ、北朝鮮の金正恩委員長の立場にしてみれば、まだ安倍さんと会ってないですよね。で、その気持ち、僕わかるんですよ。だって、トランプさん次第でどっちにでも行くから。むしろ、まったく日本の主体性が見えない。いずれ最終的に日本はその、戦後補償の問題を含めて、かなりの金額を北朝鮮に支払わなければならないんですけれど、そういうその、本来カードがあるのに、そのカードを全く使わずに、アメリカについていってるっていう印象しかなければ、金正恩委員長としても向き合う気にはならないですよね。(中略)アメリカ追従にしか見えないっていうあたりが、今の日本の最大の課題じゃないかなと僕は思いますけどね。

要旨をまとめると、
・日本の外交には主体性がない、なぜならトランプ大統領の主張に振り回されているからだ
・日本は北朝鮮に賠償金を支払うというというカードがあるのに、こうしたカードを使って主体的な外交を取り戻すべきだ
というものです。

しかしながら、
・日本はアメリカと連携して北朝鮮に対処する姿勢を取る必要があり、日本の外交に主体性がないことに問題があるとは言い切れない
・日本は韓国に北朝鮮の分まで賠償を済ませており、北朝鮮に賠償の必要性があるという主張は明らかな誤りである
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
② 衆院補選で自民2敗の件について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
 吉本新喜劇の舞台にサプライズ登場した安倍首相の姿が映し出された後、応援演説をする安倍首相の様子が流される。衆議院補欠選、辺野古移設が争点となった沖縄3区の補選で自民党候補は敗れ、自民党は補欠選挙で連敗したと伝えられる。自民党内からは、「参議院選挙を有利に戦うにはダブルもあるな。」との声があがっており、野党側で選挙区の候補者調整が進んでいないことを逆手に取り、安倍政権が夏の参議院選に合わせて衆議院を解散すれば、与党がより有利になるとの見方があるとアナウンス。
 CM後、国民民主党と自由党が合併することで合意したと伝えられる。映像が切り替わり、社民党・又市党首は「いや、理解できない」と述べ、社保立て直す国民会議・野田代表は「勢力拡大的なことしか考えてないように見える」と批判する映像が流される。野党側は衆参ダブル選挙の可能性を視野に、選挙区の候補者の一本化調整を進める構えであると伝えられ、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・全国の平均投票率は、市長選で初めて50%を下回り、町村長選や市議選などでも過去最低を記録した
・無投票当選者は全国の市長選で約3割、全国の町村長選で約5割にのぼった
・道府県議選では、自民党は議席全体の過半数を取ったのに対して、立憲・国民は合わせて議席全体の9%と4年前から4分の1減少した
・立憲辻元国対委員長は、「萩生田さんの発言が豆腐のにがりになった。(野党も)固まってきたのかなと思う」と語った
・自民党の萩生田幹事長代行の発言がきっかけとなった

【コメンテーターの発言】
浜田敬子氏(要約):野党は政党間だけで離合集散を繰り返していることが、国民の気持ちが離れる原因になっていると思う。候補者男女均等法が施行されて初めての選挙だが、地域で活動している女性候補者を政党としてまだまだ後押しできていないと思う。生活者の感覚に寄り添って地域の問題に取り組む人がボトムアップで選挙に出馬できるようになると、選挙に対する関心が育っていくと思う。

青木理氏(全文):何しゃべろうかなと思ったんですけど、いま野党の話はもうその通りなんですけど、僕VTR見て気になったのが、冒頭のあの、安倍政権が新喜劇に出たやつ。皮肉るってことはないですけど、そもそも本来、庶民がね、市民が強い人が強い人とか権力者を茶化して皮肉って笑うっていうのが本来のお笑いだと思うんだけど、そこに首相を呼ぶっていうのはどうなのかなと。ましてやあれ、次の日に補選だったでしょ。そういう意味で言うと、ある種の政治利用されている。これも思うんですけど、例えばお笑いタレントの方とか歌手の方とかタレントの方が政治的な発言をすると、政治を持ち込むなとかね。音楽やお笑いに政治を持ち込むなという話をされるんだけど、まさに持ち込んじゃってるわけですよね。あれがなんとなく今の日本の社会。もちろん安倍政権を支持してる人たち。安倍の政権の良いところっていうのも、もちろんあるんでしょうけど、なんとなくゆるーく一強になっちゃってるっていう、なんか日本社会の状況をすごく表しているような気がして。僕はものすごい違和感があったんですけど、皆さんはどうなんでしょうかね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):安倍政権が新喜劇に出たやつ。皮肉るってことはないですけど、そもそも本来、庶民がね、市民が強い人が強い人とか権力者を茶化して皮肉って笑うっていうのが本来のお笑いだと思うんだけど、そこに首相を呼ぶっていうのはどうなのかなと。(中略)例えばお笑いタレントの方とか歌手の方とかタレントの方が政治的な発言をすると、政治を持ち込むなとかね。音楽やお笑いに政治を持ち込むなという話をされるんだけど、まさに持ち込んじゃってるわけですよね。あれがなんとなく今の日本の社会。もちろん安倍政権を支持してる人たち。安倍の政権の良いところっていうのも、もちろんあるんでしょうけど、なんとなくゆるーく一強になっちゃってるっていう、なんか日本社会の状況をすごく表しているような気がして。僕はものすごい違和感があったんですけど、皆さんはどうなんでしょうかね。

要旨をまとめると、
・安倍政権が新喜劇に出たのは不適切だ、なぜなら本来のお笑いとは権力者を茶化して皮肉って笑うものだからだ
・お笑いタレントや歌手、タレントが政治的発言をすると政治を持ち込むな、と言われるが、今回の一見はまさに持ち込んでいる、それにも関わらず批判されないのが安倍一強になっている今の日本社会を表している
というものです。

しかしながら、
・本来のお笑いについて権力者を茶化すものだと定義とする主張には何の根拠もない、青木氏の個人的見解に過ぎないものをあたかも事実のように主張するのは明確な虚偽である
・安倍首相はG20の協力を要請しただけであって、政治的発言をしたわけではない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「自民党に対抗するために野党は団結すべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「野党が反安倍だけで団結しても支持されない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 日米首脳会談と露朝首脳会談について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事