2019年5月14日 報道ステーション

2019年5月14日 報道ステーション

5月14日の報道ステーションのレポート
今回検証するのは以下の点です。

・米中貿易戦争をめぐるスタジオ解説

まずは放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】(VTRの順番でミス発生)

徳永有美アナ:アメリカの大統領と、中国の。

富川悠太アナ:米中の対立が長続きするんじゃないかというところで、もう一度最初からご覧下さい。

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【VTR】
トランプ大統領:我々には数十億ドルの関税が入ってくる。いい感じで進んでいる。報復もあるだろうが比較にならないだろう。

ナレーション:やり合っているのは、世界1位と2位の経済大国です。

中国国営放送CCTVアナウンサー:アメリカとの貿易戦争を恐れていない。必要なときは迷わず戦う。

ナレーション:アメリカと中国。関税を巡る報復合戦は、どこまでエスカレートするのでしょうか。日本時間の今日午前6時、アメリカは中国に対する追加関税“第4弾”の中身を発表しました。対象は3805品目で、ノート型パソコンやスマホ、おもちゃ、衣類など、生活に密着したものが含まれています。およそ33兆円相当の製品に及び、最大で25%の関税の適用が検討されています。発動されれば中国からアメリカへの輸入品ほぼすべてが制裁関税の対象になります。対する中国も黙っていません。

中国外務省 耿爽副報道局長:絶対に外部の圧力に屈しない。我々には覚悟と力があり、自国の権利を守ることができる。

ナレーション:きのう夜、中国政府は来月からおよそ6兆6000億円相当のアメリカ製品について、制裁関税を最大25%に引き上げる報復措置を発表しました。これは先週アメリカが発動した追加関税の第3段に対応するものです。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:まさに打ち合いの様相を呈していまして、このコンテナに例えて言うなら、足元がガタガタになってきているという状況ですよね。

後藤謙次氏:そうですよね。今の状況でいくと、6月のG20が大阪で開かれる、このトランプ大統領と習近平国家主席、この米中首脳会談が一つのきっかけになる可能性があると言われているわけですが、あくまで希望的な観測にすぎないわけですね。結局中国の国家資本主義をやめろというのがトランプ大統領の基本ですから、習近平主席はアメリカにいわれてやめたくはない。やめるなら自分たちの自己改革でやめるんだ、というスタンスをとっているようですから、なかなかそこは合意点が見つからない。しかも超大国同士がメンツを賭けてぶつかり合っているわけです。トランプ大統領も大統領選を控えて弱腰と言われたくない。一方習近平主席も、トランプ大統領の言いなりじゃないかと国体的に言われると求心力が一気に弱なってしまう。となるとお互いメンツを賭けた制裁合戦になってしまっていますから、なかなか降りられないというのが現実だと思うんですね。

富川悠太アナ:一方でそうやって泥沼化している中で、そのメンツがあるとしてもトップ同士でないと解決できないんじゃないかという声もあるのは事実ですよね。

後藤謙次氏:ありますね。ただこのお互いの戦は、単なる貿易戦争じゃないわけですね。世界の覇権を目指す、そういう争いでもあるわけですから、結局半分は経済戦争、半分は権力闘争ですから、権力闘争は依然として残る。だから終戦というのはなかなか難しいだろう、あるとすれば一時停戦だと。それが大阪のG20でできるかどうか。で、安倍総理自身は、ある面で場所を貸すというのが日本の役割なんですが、トランプ大統領に対しても、あるいは習近平国家主席に対しても、ニュートラルな立場でこれを迎えたいということなんですが、お互い双方ともこのままいっては破滅に向かうということは分かってるはずですから、何らかの妥協点を探ってもらいたいと思いますね。

富川悠太アナ:そのトップ同士に向けて実務者同士でG20で交渉しましょうっていう動きはまだ?

後藤謙次氏:まだ今のところ見えません。ただ1ヶ月ちょっとありますから、その間にどうするかだと思いますね。
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【検証部分】

今回検証するのは以下の解説部分です。

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後藤謙次氏:そうですよね。今の状況でいくと、6月のG20が大阪で開かれる、このトランプ大統領と習近平国家主席、この米中首脳会談が一つのきっかけになる可能性があると言われているわけですが、あくまで希望的な観測にすぎないわけですね。結局中国の国家資本主義をやめろというのがトランプ大統領の基本ですから、習近平主席はアメリカにいわれてやめたくはない。やめるなら自分たちの自己改革でやめるんだ、というスタンスをとっているようですから、なかなかそこは合意点が見つからない。しかも超大国同士がメンツを賭けてぶつかり合っているわけです。トランプ大統領も大統領選を控えて弱腰と言われたくない。一方習近平主席も、トランプ大統領の言いなりじゃないかと国体的に言われると求心力が一気に弱なってしまう。となるとお互いメンツを賭けた制裁合戦になってしまっていますから、なかなか降りられないというのが現実だと思うんですね。

富川悠太アナ:一方でそうやって泥沼化している中で、そのメンツがあるとしてもトップ同士でないと解決できないんじゃないかという声もあるのは事実ですよね。

後藤謙次氏:ありますね。ただこのお互いの戦は、単なる貿易戦争じゃないわけですね。世界の覇権を目指す、そういう争いでもあるわけですから、結局半分は経済戦争、半分は権力闘争ですから、権力闘争は依然として残る。だから終戦というのはなかなか難しいだろう、あるとすれば一時停戦だと。それが大阪のG20でできるかどうか。で、安倍総理自身は、ある面で場所を貸すというのが日本の役割なんですが、トランプ大統領に対しても、あるいは習近平国家主席に対しても、ニュートラルな立場でこれを迎えたいということなんですが、お互い双方ともこのままいっては破滅に向かうということは分かってるはずですから、何らかの妥協点を探ってもらいたいと思いますね。

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この解説の問題点は2点あります。

・解説として不十分な部分があり、視聴者に誤った印象を与えかねない
・様々な論点からの解説がなされていない
まずは1点目から見ていきます。

後藤氏は、「国家資本主義をやめさせること」がトランプ大統領の対中国基本方針だと解説していますが、これだけでは解説として不十分です。
中国に対し、トランプ大統領が一方的に要求をしているという印象を与えかねません。

なぜトランプ氏がこのような要求をしているのか。
それは、貿易戦争の主な引き金となった以下の2点が関係しています。

1.中国による知的財産権の侵害
2.中国政府による、中国国内企業の不当な優遇

この2点が米中貿易戦争の原因であるといわれていますが、2点目の特定企業を不当に優遇することは資本主義体制ではあるべき姿ではありません。
こういった背景があり、トランプ大統領は中国に対し国家が経済を管理しようとする、国家資本主義の見直しを求めているのです。
こうした点を解説しないことは、中国に対しトランプ大統領が一方的な要求を突き付けているという印象を視聴者に与えかねません。

次に2点目の様々な論点を欠いた放送であったという問題点についてみていきます。
番組内では米中間で妥結することが難しい根本的な理由について取り上げられていませんでした。

後藤氏による解説では、
・米中間で収束させることは難しい
・貿易戦争だけでなく、米中間での覇権争いという面もある
といったごく一部の側面しか取り上げられていなかったのです。

この2つのことを見る場合には、アメリカと中国という国の違いを見る必要があります。
なぜなら、共和党の中には中国政府による様々な弾圧を問題視する議員も多く、そのために米中交渉の妥結ができていない側面もあるからです。

アメリカは宗教も経済も自由な国である一方、中国は、自由な国とは言えません。
中国は様々なものが政府の管理下に置かれていますが、宗教も管理すべきものとされています。実際、キリスト教に対する弾圧やイスラム教に対する弾圧もあります。

こういった点を問題視する共和党議員がいる一方、中国にとって宗教すらも規制することは当たり前のことなのです。こういった国家観の違いという面で米中双方が理解しえないため、米中間での妥結が遅々として進まないのです。

アメリカと中国ではそもそもの国家観や考え方が大きく異なっているという非常に重要な論点を取り上げた上で解説すべきでしょう。
このような放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
第4項意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けてまいります。

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