2019年6月6日 報道ステーション

2019年6月6日 報道ステーション

6月6日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・後藤氏の安倍政権の政権運営に関する解説

まずは放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:安倍総理大臣の在職日数が通算2720日と今日でなりまして、伊藤博文初代総理大臣と並んで歴代3位となりました。ただですね、今の国会で、総理も出席して行われます予算委員会が開かれていない期間も、また長いんです。なぜでしょうか。

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【VTR】
ナレーション:今日、初代総理大臣伊藤博文と並び、歴代3位の長期政権に。

安倍晋三総理大臣:国民の皆さまから力強い支援を頂いたお陰で、ここまで来ることができました。皆さまに約束した一つ一つの政策をしっかりと前に進めていくことによって、その責任を果たしていきたい。

ナレーション:このまま政権を維持すれば、8月には佐藤栄作を、11月には桂太郎を抜いて、憲政史上最長となります。その後、安倍総理は吉本興業に所属する芸人らの表敬訪問を受けました。

西川きよし氏:僕やらせてもらえるなら聞きたかったなあ。“衆参同日”あんのかーい。

ナレーション:安倍総理は笑顔で返すだけでしたが、今日の永田町では。

麻生太郎副総理:衆議院の方々も参議院の選挙をきちんとやることによって、結果としてそれが自分に回ってきますから。これ以上喋るとまた“衆議院と一緒”という話に……。

自民党 石破茂元幹事長:参議院選挙というのはある意味“中間選挙”的な意味合いを持つものであって、それと政権選択の選挙を同時にやるというのは、これは一体どういう意味合いを持つのだろうと思っております。

ナレーション:収まらない“解散風”に、野党側は。

国民民主党 原口一博国対委員長:予算委員会を逃げて解散するなんて、とてもやらせてはなりません。

ナレーション:予算委員会は、総理や大臣が出席して、あらゆる政策について議論が行われる重要な場です。他の委員会が開かれる中、この予算委員会は衆院では3ヶ月以上、参院では2ヶ月以上開かれていません。この間いろいろありました。

安倍晋三総理大臣:私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない。条件をつけずに向き合わなければならない。

ナレーション:対北朝鮮政策は、なぜ「前提条件なしの対話」に転換したのでしょうか。日米首脳会談では。

アメリカ トランプ大統領:貿易について8月に何らかの発表ができるだろう。両国にとって嬉しい発表になるだろう。

ナレーション:選挙後に農業や畜産の分野でアメリカに大幅に譲歩するのではとの懸念も広がっています。また、秋に消費増税を控えるなか、景気動向指数の基調判断が6年2ヶ月ぶりに悪化に引き下げられました。野党側は予算委員会の開催を求め続けていて、これらを安倍総理に直接糾す構えです。

衆院予算委 野党筆頭理事 逢坂誠二議員:委員会を開かないと言うことが究極の審議拒否なんですね。説明責任の放棄と言わざるを得ない。

ナレーション:一方、与党側は。

自民党 森山裕国対委員長:予算が出てないわけでございますので、常任委員会での一般質疑でおやりくだされば良いわけだと思います。

ナレーション:国会の会期は残り3週間を切りました。このまま予算委員会は開かれずに終わるのでしょうか。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:予算委員会は衆院では3月1日以来、参院では3月27日以来開かれていないんですけれども、これだけ開かれないというのは、後藤さん、異例ということに。

後藤謙次氏:きわめて異例ですね。しかもその間に大きな政治的なイベント、かなりありましたよね。国民みんなが一つ一つ聞きたいと、そういうことを全く委員会開かないと聞けないわけですからね、少数意見を尊重するというのは民主主義の基本中の基本ですね。しかも国権の最高機関、言論の府が機能してないという実態なわけですよね。しかも安倍総理、外交に非常に力を入れてまして、去年の自民党総裁選挙でですね、戦後外交の総決算と、これを謳ったんですね。この中身は日ロの北方領土、それから拉致問題。この二つが安倍外交の核心だったんですね。ところがこの二つについて、アナウンスなき方針転換が行われてるんですね。その説明が全くないんですね。これが象徴なんですが、今年の4月に閣議報告された外交青書、外交の政治報告書ですね。その中に、去年まであったこの文言が消えてるんです。こっちは日ロ交渉で「北方四島を日本に帰属する」。これが消えました。それから対北朝鮮外交でも、「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく」、この強硬路線が消えたと。しかしこれがなんで消えたんですかというところを、ぜひ聞きたいんですが、安倍総理は今のところ一切説明をしていない。いつも丁寧な説明、これは安倍さんの常套句なんですが、実態は何も聞かされていないというのが我々なんですね。安倍政権、今日、伊藤博文元総理大臣と同じ長さになりましたね。しかし国民にどこか納得感がいかないのは、まさにこういうところの説明がきちっとなされないということにあるんだと思いますね。こういう言葉もありますよね。「山高きが故に貴からず」ということで、長期政権がゆえにできることがあるんですから、是非それを説明してもらって、結論を出してもらいたいと。そう思いますね。

富川悠太アナ:しかもその説明を聞けないまま時間が経ってしまったことで、この北朝鮮に対しては、このあとお伝えするニュースにも関わってきますよね。

徳永有美アナ:そうですね。完全なる非核化を目指すと言っていたはずなんですが。

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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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富川悠太アナ:予算委員会は衆院では3月1日以来、参院では3月27日以来開かれていないんですけれども、これだけ開かれないというのは、後藤さん、異例ということに。

後藤謙次氏:きわめて異例ですね。しかもその間に大きな政治的なイベント、かなりありましたよね。国民みんなが一つ一つ聞きたいと、そういうことを全く委員会開かないと聞けないわけですからね、少数意見を尊重するというのは民主主義の基本中の基本ですね。しかも国権の最高機関、言論の府が機能してないという実態なわけですよね。しかも安倍総理、外交に非常に力を入れてまして、去年の自民党総裁選挙でですね、戦後外交の総決算と、これを謳ったんですね。この中身は日ロの北方領土、それから拉致問題。この二つが安倍外交の核心だったんですね。ところがこの二つについて、アナウンスなき方針転換が行われてるんですね。その説明が全くないんですね。これが象徴なんですが、今年の4月に閣議報告された外交青書、外交の政治報告書ですね。その中に、去年まであったこの文言が消えてるんです。こっちは日ロ交渉で「北方四島を日本に帰属する」。これが消えました。それから対北朝鮮外交でも、「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく」、この強硬路線が消えたと。しかしこれがなんで消えたんですかというところを、ぜひ聞きたいんですが、安倍総理は今のところ一切説明をしていない。いつも丁寧な説明、これは安倍さんの常套句なんですが、実態は何も聞かされていないというのが我々なんですね。
安倍政権、今日、伊藤博文元総理大臣と同じ長さになりましたね。しかし国民にどこか納得感がいかないのは、まさにこういうところの説明がきちっとなされないということにあるんだと思いますね。こういう言葉もありますよね。「山高きが故に貴からず」ということで、長期政権がゆえにできることがあるんですから、是非それを説明してもらって、結論を出してもらいたいと。そう思いますね。
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この発言の問題点は2点あります。

・様々な論点を提示した発言ではなかった可能性がある
・印象操作と思われる発言があった可能性がある

1点目について見ていきます。
後藤氏は、安倍政権の評価について外交面から解説を行っています。
しかし安倍政権を評価するうえで内政や安全保障という側面を取り上げず、外交面のみを取り上げるのは、論点を欠いた解説である言えます。

もちろん安倍総理が外交に力を入れているのは間違いありませんが、今回の解説であったようなロシア・北朝鮮との関係が外交の全てではありません。

トランプ大統領をはじめとした、諸外国首脳と安倍総理の関係の良さや、安倍総理の訪問国の多さといった論点を含めて評価しなければ、フェアな解説とは言えません。
このように、政権を評価するうえで外交面の、それも一部の国々との関係性のみをとりあげた解説は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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続いて2点目の問題点について見ていきます。

後藤氏は、安倍政権は長期政権を築いているが、国民にどこか納得いっていない部分がある、と述べていますが、この発言は後藤氏の主観に基づくものであり、根拠がありません。

政権を維持するには国民からの支持が必要であることは言うまでもないことであり、安倍政権が長期政権を築いているということは、国民からの支持があるということでもあります。

後藤氏個人の主観が国民の総意である、ということはありえず、国民の総意は選挙で示されるものです。

多くの国民が視聴するテレビ放送において、個人の主観に基づく解説は視聴者に偏った印象を与える可能性があり、我々はこのような発言を問題であるととらえます。

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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