2019年6月18日 報道ステーション

2019年6月18日 報道ステーション

6月18日の報道ステーションのレポートです。
本日検証するのは以下の点です。

・後藤氏によるスタジオ解説

早速放送内容を確認していきます。
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【VTR】
立憲民主党蓮舫副代表:いきなり突然、受け取らないとなりました。こうした大臣の対応が年金の不安を煽ったというご自覚はおありですか。

麻生太郎財務兼金融担当大臣:年金の不安を煽ったという自覚はありません。

立憲民主党蓮舫副代表:不適切な記述はどこですか。この中でまず10ページのところで毎月の赤字額と書いてありますが、赤字額は5万円となっている。そういった表現がまず一番最初に不適切と思ったところです。また21ページにも不足額の総額は単純計算で1300万~2000万円になるということで、いわゆる不安とか誤解とか与えることになる。

立憲民主党蓮舫副代表:それを受け取らないからなかったものにすることができるんですか。

麻生太郎財務兼金融担当大臣:私はなかったものにすると申し上げていることはないのであって、私どもとしてはこの報告書というものはホームページに掲載していて、公文書の隠蔽をしているつもりはまったくありませんので、そのまま載っているというのは事実であります。

ナレーション:政府のスタンスと異なるとして、報告書の受け取りを拒否してきた麻生大臣ですが、大臣自らトップを務める金融庁も、老後に3000万円が必要という独自の試算を示していたことが分かりました。

立憲民主党蓮舫副代表:金融庁も試算をしていましたね。最大3000万円資産形成額がいる、これは何ですか?

麻生太郎財務兼金融担当大臣:各個人によって退職後の支出及び収入は大きく異なるため、一律に必要な資産形成額を示すものではないと。

立憲民主党蓮舫副代表:じゃあこれも不適切ですか?

麻生太郎財務兼金融担当大臣:退職後に3000万円不足するような誤解や不安を招くものであれば、これも同様に不適切ということになろうかと思います。

ナレーション:そもそも報告書に込められた「貯蓄から投資へ」というメッセージは、金融庁が長年抱えてきた問題意識でした。

立憲民主党蓮舫副代表:年金は収入の柱だけどもまかなえなくなるリスクがあるから、私的年金等の投資をしようという方向性になっているんですね。その方向性は政府のスタンスですか。

麻生太郎財務兼金融担当大臣:預金は金利も昔みたいに5%6%つく時代ではありませんから、そういった意味では私どもとしては、もっと安全な資産を持たれたらいかがかと申し上げてきているのは事実です。

立憲民主党蓮舫副代表:そうするとこの報告書の全体の流れは政府のスタンスなんですね。今でも高齢者に「金を使え」という持論ですか?

麻生太郎財務兼金融担当大臣:お金というものは私どもは昔からずっと申し上げておりましたが、これ見るものでも触るものでも眺めるものでもないと思ってます。私はお金は使われてしかるべき「金は天下の回りもの」だと、子供の時から教わりましたので。私どもはそう思っておりますので。

ナレーション:今日、麻生大臣が繰り返し強調したのは年金制度の安定性です。

麻生太郎財務兼金融担当大臣:100年間安心というのを大前提にしてかなりの部分をこの年金でまかなえる。全部が全部というわけではありませんけど、かなりの部分をまかなえる。

ナレーション:しかし過去にはこんな発言も。

麻生太郎(「中央公論」2008年3月号):政府がどんなに「100年安心」と謳っても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人は誰もいないのだ。

立憲民主党蓮舫副代表:2008年3月号の月刊誌。今もこの考えか。

麻生太郎財務兼金融担当大臣:安心する人の数が少ないという当時の話だったと思います。私どもはそれを解消するために平成16年度の改正をさせていただいたと理解しております。

立憲民主党蓮舫副代表:すみません。平成16年の改正から4年経っているんです。時差があります、間違えていませんか。

共産党小池晃書記局長:麻生さん総理大臣の時に、「公式に100年安心うたったことありません」と言っているじゃないですか。

麻生太郎財務兼金融担当大臣:大臣って総理大臣って言われましたから。違うでしょ、副総理として言った話になっていませんか。

(総理になってます。この時総理です)

麻生太郎財務兼金融担当大臣:これを今私の一存で「100年安心」という言葉を取り下げるということを希望されておられるのですか? そういうことは致しません。

ナレーション:厚労省の答弁を巡り、審議がストップする場面もありました。将来的な年金の給付水準について。

共産党小池晃書記局長:約3割、給付水準低下しますね。

厚生労働省度山徹審議官:算数弱いので、パッと割り算できないんですがその程度だと思います。

共産党小池晃書記局長:算数弱かったら年金審議官できないだろ。ちょっと今のふざけてるよ、これ。

厚生労働省度山徹審議官:およそ3割程度になると考えられます。

ナレーション:安倍総理が出席した別の委員会では、財政検証を巡る政府の姿勢が示されました。財政検証は5年に1度年金財政の健全性をチェックするものですが、今回は公表が遅れています。

立憲民主党川田龍平参院議員:安倍総理、ぜひ「出す」と言ってください。そしていつまでに出すのか、お答えください。

安倍晋三総理大臣:こういう問題については政争の対象とするのではなく、冷静な議論が大切でございますから。確かな検証をしっかりお示しすることが政府としての使命なんだろうと。

ナレーション:あす国会では1年ぶりに党首討論が行われます。野党は2000万円問題を追及する考えで、来週には麻生大臣の不信任決議案や安倍総理への問責決議案を提出する方針です。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん、明日はいよいよ党首討論な訳なんですけども、もう一度伺いますが、解散っていうのはないと思って良いんでしょうか。

後藤謙次氏:基本的には時間がない。大義がない。そして今日国会でもありましたように老後資金200万円問題。これによって政権に逆風が吹き始めている。そして何よりも与党公明党の山口代表と安倍総理が解散巡って会談してないんですね。公明党幹部も、ですから99.99%解散はないと言ってるんですが、ところがそういう状況にもないという人もいるんですね。総理に近ければ近い人ほど、今日何人も取材しましたけども、例えばその一部を紹介しますと、「解散の可能性は首の皮一枚残っている」。とか「今日は番組で解散はないと言い切らない方がいいですよ」という人もいたんですね。といいますのも、解散そのものを、どうやら総理自身が最終決断してないようなんですね。イラン帰国後、安倍さんが何人ものいわゆる解散強硬派と言われる人たちと会談を重ねてるんですね。そういう人たちは今解散をやらなければ将来にわたってやれなくなるぞと。憲法改正もできなくなるよということを安倍さんに強く進言してるんですね。野党側はむしろ明日の党首討論でわーわーわーわーなって、突発解散を恐れてるんですが、安倍総理自身は周辺には明日の党首討論は冷静にやると。つまりそれ以外の条件をすべて勘案した上で最終判断するという考えなんですね。ですから明日の党首討論を境に、きわめて微妙な難しい局面、我々記者泣かせの局面に入ってきていると言って良いと思います。

徳永有美アナ:本当の意味でまだまだ、まだまだわからないんですね。

後藤謙次氏:断言できないという状況にあるんだと思います。

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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん、明日はいよいよ党首討論な訳なんですけども、もう一度伺いますが、解散っていうのはないと思って良いんでしょうか。

後藤謙次氏:基本的には時間がない。大義がない。そして今日国会でもありましたように老後資金200万円問題。これによって政権に逆風が吹き始めている。そして何よりも与党公明党の山口代表と安倍総理が解散巡って会談してないんですね。公明党幹部も、ですから99.99%解散はないと言ってるんですが、ところがそういう状況にもないという人もいるんですね。総理に近ければ近い人ほど、今日何人も取材しましたけども、例えばその一部を紹介しますと、「解散の可能性は首の皮一枚残っている」。とか「今日は番組で解散はないと言い切らない方がいいですよ」という人もいたんですね。といいますのも、解散そのものを、どうやら総理自身が最終決断してないようなんですね。イラン帰国後、安倍さんが何人ものいわゆる解散強硬派と言われる人たちと会談を重ねてるんですね。そういう人たちは今解散をやらなければ将来にわたってやれなくなるぞと。憲法改正もできなくなるよということを安倍さんに強く進言してるんですね。野党側はむしろ明日の党首討論でわーわーわーわーなって、突発解散を恐れてるんですが、安倍総理自身は周辺には明日の党首討論は冷静にやると。つまりそれ以外の条件をすべて勘案した上で最終判断するという考えなんですね。ですから明日の党首討論を境に、きわめて微妙な難しい局面、我々記者泣かせの局面に入ってきていると言って良いと思います。

徳永有美アナ:本当の意味でまだまだ、まだまだわからないんですね。

後藤謙次氏:断言できないという状況にあるんだと思います。

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今回の発言の問題点は以下の2点です。

・事実と異なる発言があった可能性がある
・多くの論点を提示した発言ではなかった可能性がある

一点目から検証していきます。
後藤氏は今回の年金をめぐる問題によって「政権に逆風が吹き始めている」と解説をしています。
しかし、NHKが6月24日に公表した最新の内閣支持率は、42%と前回調査と比較してほぼ横ばいとなっています。
政権へダメージがあるという後藤氏の解説は主観や印象に基づく発言であり、事実に基づかない発言である可能性があります。
このような発言は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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2点目の問題点に移ります。
今回VTRで主に取り上げていたのは老後資金の問題についてです。
老後資金の問題とは年金だけでは、老後の資金が不足するという金融庁の報告の妥当性についてです。

この問題が主眼であるにも関わらず、この話はほとんど解説がなされておらず、政局の話に終始していました。
また、政局の解説も論点が明確ではありません。

後藤氏は党首討論について
「野党側はむしろ明日の党首討論でわーわーわーわーなって、突発解散を恐れてる」
と解説しています。
「わーわーわーわー」とは何のことか視聴者には伝わらない可能性が十分に考えられます。
何の論点について、野党と与党が対立するのか。論点を提示して解説をするべきでしょう。
このような論点を欠いた解説は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けてまいります。

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