2019年7月21日 サンデーモーニング(中編)

2019年7月21日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」 2019年7月21日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 貿易上の優遇措置廃止と徴用工問題による日韓関係悪化の現状について報道された部分
② 沖縄県が辺野古への基地移設問題で国を提訴した件について報道された部分
③ 「風を読む」にてトランプ米大統領の「人種差別発言」について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 沖縄県が辺野古への基地移設問題で国を提訴した件について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
沖縄県はアメリカ軍辺野古移設問題について新たに国を提訴した。沖縄県は2013年に仲井眞知事(当時)が承認した辺野古埋め立てを去年撤回。防衛相は、対抗措置として国交省に不服審査を申し立てた。国交省は防衛省側の主張を認め、辺野古への土砂投入が行われているが、県側は国交省の関与は違法だと訴えた。玉城現知事は、「国交相の裁決は結論ありきで公正さに欠ける」と主張した。

【コメンテーターの発言】
谷口真由美氏(全文):辺野古埋め立てをめぐる訴訟って実はこれで7件目なんですけれども、なんでこんなことになってるかっていうと、2月の県民投票の結果が出たのにも関わらず、政府が耳を貸していないっていうことにあると思うんですね。耳を貸さずに毎日土砂を辺野古に投入してるっていうのがあって。今回やっぱり、問題は、裁判所が県の訴えに対して真正面から答えるかどうかってことがポイントだと思います。日本は司法権がちゃんと独立してるので、政府の顔色を伺うのではなくって、裁判所は裁判所の良心に従って判決をちゃんと下すべきだと私は思います。

青木理氏(全文):これ、もう一回思い出さなくちゃいけないのは、これ沖縄防衛局が使ったのは、対抗措置として使ったのがね、行政不服審査法なんですよね。行政不服審査法って何かっていうと、行政庁の違法または不当な処分などから国民の権利権益の救済を図るための制度だった。それを国が使って、ある種沖縄を押さえつけたってってことの問題点っていうのを、もう一回抑えなくちゃいけないのと、その、谷口さんは司法が独立してるかってってのは、まさにそこが問われてるっておっしゃいましたけれども、でも僕は結構絶望的に見ていて、果たして真っ正面から答えるとは思わないんだけれども、今日まさに選挙ですよね。で、これ、辺野古の埋め立て。軟弱地盤があって無理なんじゃないかって言われながら、これ、ニ兆数千億かかるんですよ。で、これ、二兆数千億って天から降ってくるわけじゃない。我々の税金なんですよね。で、このような膨大なお金を使って、沖縄を、ある種押し付けてやっていいのかっていうのも、やっぱりこれ一つ大きな争点だっていうことを考えながら、僕もこれから投票に行きます。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):2月の県民投票の結果が出たのにも関わらず、政府が耳を貸していないっていうことにあると思うんですね。耳を貸さずに毎日土砂を辺野古に投入してるっていうのがあって。今回やっぱり、問題は、裁判所が県の訴えに対して真正面から答えるかどうかってことがポイントだと思います。日本は司法権がちゃんと独立してるので、政府の顔色を伺うのではなくって、裁判所は裁判所の良心に従って判決をちゃんと下すべきだと私は思います。

要旨をまとめると、
・2月に実施された県民投票の結果を政府が無視しており、土砂の投入が続いている。
・裁判所が県の訴えに対して真正面から向き合うかがポイントだ。日本は司法権が独立しているので、政府の顔色を窺うのではなく裁判所の良心に従うべきだ。

というものです。

しかしながら、
・住民投票で法的に効力があるのは
1)国会が特定の地方自治体にのみ適応される特別法を制定する場合(日本国憲法95条)
 2)議会の解散(地方自治法第5章第2節)
 3)議員の利殖(同上)
 4)首長の解職(同上)
 の4種類のみで、今回の沖縄県の県民投票は県独自の条例に基づく住民投票であるため、県民投票の結果に従う義務を定めた法律は存在せず、法的拘束力はない
・政府を支持する判決を出すことと政府への忖度は全く別の事柄である。また、「政府を支持する判決を出すことは、県の主張に真正面から向き合っておらず、良心に従っていない」など県の主張を一方的に支持する言説は明らかに政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):これ沖縄防衛局が使ったのは、対抗措置として使ったのがね、行政不服審査法なんですよね。行政不服審査法って何かっていうと、行政庁の違法または不当な処分などから国民の権利権益の救済を図るための制度だった。それを国が使って、ある種沖縄を押さえつけたってってことの問題点っていうのを、もう一回抑えなくちゃいけない

要旨をまとめると、
・行政不服審査法は行政庁の違法や不当な処分などから国民の権利権益を救済する制度である
・国が行政不服審査法に基づく審査請求を行うことは問題である

というものです。

しかしながら、
・行政不服審査法に行為主体を個人に制限する条文は一切含まれていない
・確かに行政不服審査法第1条で目的を国民の権利権益の保護としているが、行政機関・政府であっても処分の対象でない場合は一般人と同じ立場と考えられている(つまり、国民の権利権益のためなら行政機関も訴えを起こせる)ので、国がこの法律を根拠に不服申し立てを行うことには何ら違法性はない
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「辺野古移設はするべきではない」「政府は県民投票をはじめとする沖縄の民意に向き合うべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「普天間に基地が残り続けることの方が危険だ」「国防は自治体の管轄ではない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げられませんでした。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にてトランプ米大統領の「人種差別発言」について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 貿易上の優遇措置廃止と徴用工問題による日韓関係悪化の現状について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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