2019年8月7日 報道ステーション

2019年8月7日 報道ステーション

8月7日の報道ステーションのレポートです。
今回検証する点は以下の点です。

・後藤氏による日韓関係に関する解説

まずは放送内容から確認していきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:日韓の対立が深まる中、昨日、ソウル中心部に日本製品のボイコットを訴える旗1000枚以上が掲げられました。ところが、わずか数時間後にはこのように取り外され全て撤去されたんです。一体何があったんでしょうか。

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【VTR】
ナレ:日本製品の不買運動が始まってからもう、1か月が過ぎました。日韓関係は今後どうなるのでしょうか。

ナレ:大韓民国を削る。日本政府は今日、韓国を輸出管理の優遇対象の国から除外する政令を公布しました。

菅官房長官:今般の見直しは安全保障の観点から我が国の輸出管理制度を適切に実施する上で必要な運用の見直しです。

ナレ:正式に除外されるのは今月28日です。一方の韓国では…。

良永晋也レポーター:ここはソウルのど真ん中、観光客も行き交う大通りです。その街灯に今ボイコットジャパンという旗が取り付けられようとしています。しかもこの旗、行政によって取り付けられているんです。

ナレ:ここチュンクはまさにソウルの中心部です。金融機関や大企業の本社が立ち並び日本人にも人気の繁華街ミョンドンもあります。そんな場所に、不買や旅行の中止を呼びかける旗が揚げられたのです。設置を決めたのは区長のソ・ヤンホ氏です。

ソ区長:まず、戦争に勝つことに集中すべきです。中区(チュンク)の旗は国民と共にある。

ナレ:外国人観光客にも韓国の意思を示すとして1100本を設置する計画でした。しかし…。

良永レポーター:今、街灯からのぼり旗が撤去されました。設置からわずか6時間足らずでの撤去となりました。旗を設置した人も驚きを隠しません。設置から撤去までわずか6時間です。一体何があったのでしょうか。

ソウル市民①:不買運動とか国民感情があるのは理解できますが、国家レベルでやるのはやりすぎですし、憂慮しますね。

ソウル市民②:撤去したのは正しい。日本不買運動を民間レベルでやるのは結構だけど、政府機関や団体でやるのは妥当じゃないでしょ。

ナレ:撤去の理由は市民からの反発でした。大統領府が運用する、国民からの請願を受け付けるサイトには撤去を求める声がおよそ2万件寄せられました。更にミョンドンなどで商売をする。多くの商店関係者も旗があれば日本人が来づらくなると不満の声を上げたといいます。設置を決めたソ・ヤンホ区長はすぐさま謝罪しました。

ソ区長:日本政府と日本国民を同一視し、日本国民に不必要な誤解を与えかねないという憂慮と、不買運動を国民の自発的な領域として残しておくべきだという批判を謙虚に受け止めます。

ソウル市民③:区長は実に浅はかだよ。来てくれた人をなぜ追い出すのか。安倍総理の政策が悪いのであって日本の人が悪いわけではない。韓日問題はそんなことでは解決しない。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:政府同士それから政治家同士の緊張感は高まっているんですけれども、韓国国内は冷静な意見があるようですね。

後藤謙次氏:今日、私が電話で取材したソウル在住の元外交官なんですが、韓国内に安倍政権と日本人、一般国民とは違うんだという声が高まりを見せてきてですね。徐々に韓国内の空気も変わってきているんではないかということを言っていましたね。この間韓日議連の幹部が日本に来て、日韓議連の議員と会合しましたけれども、ここでも民間人に影響を及ぼすようなことをやめようということで合意しているといっているんですね。私が次に注目しているのは8月15日なんですが日本は終戦の日ですが光復節ですね。韓国の光復節で、毎年大統領府で厳しい反日の演説を行うんですが、この演説、今年、文在寅大統領がどういう演説で日本に問いかけてくるのか。そこが今後の日韓関係の大きな分かれ道、ポイントになるんじゃないかと思います。

徳永アナ:文大統領は政治家として刺激的なことは言わないでほしいなと思いますね。
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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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後藤謙次氏:今日、私が電話で取材したソウル在住の元外交官なんですが、韓国内に安倍政権と日本人、一般国民とは違うんだという声が高まりを見せてきてですね。徐々に韓国内の空気も変わってきているんではないかということを言っていましたね。この間韓日議連の幹部が日本に来て、日韓議連の議員と会合しましたけれども、ここでも民間人に影響を及ぼすようなことをやめようということで合意しているといっているんですね。
私が次に注目しているのは8月15日なんですが日本は終戦の日ですが光復節ですね。韓国の光復節で、毎年大統領府で厳しい反日の演説を行うんですが、この演説、今年、文在寅大統領がどういう演説で日本に問いかけてくるのか。そこが今後の日韓関係の大きな分かれ道、ポイントになるんじゃないかと思います。
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この発言の問題点は以下の点です。

・多くの論点を取り上げた解説ではなかった可能性がある

論点として取り上げるべき点は2点あります。

まず1点目は今回の問題の経緯についてです。
今回問題となっている日韓貿易問題の発端は韓国の輸出管理が徹底されていないことにあります。
日本としては、韓国が戦略物資の輸出を管理できておらず、安全保障上問題があるため、優遇措置(ホワイト国)から除外しました。
韓国側はこの措置を徴用工問題に対する報復だと言っていますが、日本としては徴用工問題は解決済みの問題ですので、全くの論点ずらしです。

今回の後藤氏の解説ではこういったことに一切触れずに、民間人に影響が出ないようにすべきということしか述べていません。
そもそもの貿易問題が起きた経緯や解決への道筋にはやはり韓国側の対応が必要になります。この問題の経緯や韓国側と日本側の立場をしっかりと述べる必要があるでしょう。

次に2点目の論点です。
こちらは後藤氏が述べていることですが、8月15日の韓国大統領による演説が重要だ、という解説についてです。
例年反日演説を行っているが、今年の演説に注目が集まるといった解説を行っています。
この点についてですが、なぜこの演説に注目するのかという点が述べられていません。
文大統領は左派的な大統領であり、親日とはとても言えない大統領です。どれぐらいの反日的な演説をするかといった程度の違いはあれど、親日的な演説を行うことは考えにくいといえます。

またここで親日的なことを言ってもそれだけで日韓関係が修復されるのかといえばそれも難しいと言わざるを得ません。
なぜこの演説に注目が日韓関係を左右するのかといった解説が必要でしょう。

このように、論点を欠いた解説は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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