2019年9月1日 サンデーモーニング(中編)

2019年9月1日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年9月1日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 韓国軍による竹島での軍事訓練と文政権のスキャンダルについて報道された部分
② 「風を読む」にてブラジルの森林火災と地球温暖化について報道された部分
③ 京都アニメーション放火事件の被害者実名公表について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風を読む」にてブラジルの森林火災と地球温暖化について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 南米にある世界最大の熱帯雨林・アマゾン大規模な森林火災が続いている。軍も出動し消火活動を続けているが、火災は近隣の国々にも広がっている。アマゾンの樹木は二酸化炭素を吸収し、大量の酸素を放出しているところから、アマゾンは地球の肺とも呼ばれている。地球上で確認されている野生生物のうち10%が生息しているといわれ、アマゾンの焼失は地球全体の環境にとっても深刻な問題である。
 そんな中、ブラジルのボルソナロ大統領が、アマゾンの火事に怒るデモ隊から「ボルソナロは放火犯だ」と名指しで批判されている。元々アマゾンでは農地開発を目的とした違法な野焼きが横行していたところ、ボルソナロ大統領が開発を重視する姿勢から取り締まりを緩めたことが火災の増加につながったという指摘が出ている。ボルソナロ大統領はパリ協定からの離脱を主張したこともあった。
 2年前、トランプ大統領はパリ協定からの離脱を宣言した。背景には、国内のエネルギー産業への配慮があるとみられる。さらに、産油国ブラジルを率いるボルソナロ大統領は「トランプ大統領のファンだ」と公言している。経済最優先の姿勢と気候変動をめぐる議論が噛み合っていない。
 今年も世界各地で気候変動によるとみられる異変が発生する中、環境への取り組みが進まないのはなぜか。哲学者の内山節氏は、「倫理観としては分かっているが、自分の支えになる経済が縮小していくのは困るので、結果的にひたすら経済成長を求めてしまう(要約)」と話す。事実、G7では気候変動に関する真剣な議論が期待されたが、首脳宣言には気候変動対策の項目は入らなかった。

【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(全文):やっぱりその、暮らし方とか、生き方を変えろという警告だという風に受け止めてます。これはもう日常的にも感じるから、かなりそういう警告は僕なんかに対しても効いてきているんだと思うんですが、パリ協定から出るのは何事だと言ってアメリカを怒りながらね、アフリカ開発だって言っているのは非常にこう、大きな矛盾なんで。政治そのものがそういう矛盾を非常に抱えている。そこからまあ手直ししていかなきゃいけないですよね。

元村有希子(要約):環境問題に関する対立は長年の南北対立に根差している。先進国に対する反発があるが、ブラジルでは1992年に地球サミットが開かれ、そこから京都議定書・パリ協定へと発展している。ブラジルは原点の場所。この間に途上国から新興国に成長し、GDPも4、5倍に上がっている。今こそブラジルが新興国としての義務を果たすのが重要。12才の少女が「大人が子どもに怒ることを大人がやっているのではないか」と問いかけた伝説の演説がある。改めてそうだなと思った。

安田菜津紀氏(要約):遠くの問題だと捉えがちだが、私たちが日常的に手にするお菓子・洗剤に用いられるパーム油を作るために、インドネシアなどで森林伐採が続いている。気がつかかなければ政府や企業に働きかけることも、地球に優しい商品を選ぶこともできない。身近で使っているものから手繰り寄せて働きかけていくことが大切。

涌井雅之氏(要約):経済が成長しても地球は成長しない。地球には一定の環境容量があり、地球人口が増えるということはその分け前を誰が多く取るのかという話になる。我々は人類がこの地球の上で反映するというエゴロジーからエコロジーという転換を考えるべき。アマゾンが地球の肺というのは誤解で、アマゾンはいわゆる極成層で代謝が悪い。生物多様性、遺伝資源の宝庫である、これを燃やしちゃいけないということだ。

青木理氏(抜粋):ちょっと冷静になって考えてみると、ちょっと中長期的に考えてみると、何が得なのか、何が良いのかっていうのは誰でも分かると思うんですね。しかし、それができない。例えば温暖化の問題もそうですよね。それから、例えば、EUの離脱だってそうだと思うんですよ。長期的に考えたら、得じゃないでしょうと。あるいは、イランの核合意なんかもそうだし、それから、今日僕番組で申し上げましたが日韓だって、こんなもの揉めて得なことはないよねと。冷静になって考えてればと。ところがどうも最近になって自国ファーストとか自分さえよければとか短期的な利害とか、ちょっとスッキリしたいとかっていう、なんかある種の動物的な感覚みたいなものがすごく強まっちゃってるんですね。じゃなくて、人類はそうじゃないところで発展してきたわけですから、なんかこう、人類が人類たるべきを取り戻せっていうような感じ。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):パリ協定から出るのは何事だと言ってアメリカを怒りながらね、アフリカ開発だって言っているのは非常にこう、大きな矛盾なんで。政治そのものがそういう矛盾を非常に抱えている。そこからまあ手直ししていかなきゃいけないですよね。

要旨をまとめると、
・日本政府がパリ協定から出るアメリカに怒りながら、一方でアフリカ開発を進めているのは非常に大きな矛盾。まずは政治から手直ししなければならない。

というものです。

しかしながら、
・アメリカのパリ協定離脱とアフリカ開発への日本政府の出資は完全に別件である。したがって大きな矛盾があるとする田中氏の主張は事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「経済発展を追い求めるのではなく地球環境を保全することを優先すべきだ」「目先の利益で物事を判断せず中長期的に判断すべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「経済発展と環境保全は両立可能だ」「技術革新などで持続可能な経済発展を目指すべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にてブラジルの森林火災と地球温暖化について報道された部分における
 検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 京都アニメーション放火事件の被害者実名公表について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 韓国軍による竹島での軍事訓練と文政権のスキャンダルについて報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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