2019年9月8日 サンデーモーニング

2019年9月8日 サンデーモーニング

TBS「サンデーモーニング」、2019年9月8日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 韓国での日本製品不買条例案可決と曺国氏の聴聞会について報道された部分
② 「風を読む」にて炎上商法とメディアについて報道された部分
③ 9月11日実施の内閣改造について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 韓国での日本製品不買条例案可決と曺国氏の聴聞会について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 6日、韓国ソウルと釜山の市議会で日本製品の不買条例案が可決され、文大統領の側近である曺国氏の人事聴聞会が開かれた。曺氏は記者会見を行い、一連の不正疑惑への関与を否定したが、娘が受け取った表彰状を妻が偽造していた疑惑が浮上。14時間に及ぶ聴聞会の最中、検察が曺氏の妻を私文書偽造罪で在宅起訴した。曺氏は反日の急先鋒としても知られる。
 国防関係者が集まった安保対話では、GSOMIA破棄をめぐり日韓で激しい応酬があった。アメリカ政府は韓国のGSOMIA破棄に不満を表明。ハリス駐韓米国大使は韓国国内の安保関連行事を相次いで欠席しているという。

【アナウンサーによるパネル説明】
・曺氏がこのまま法相に任命された場合、法の番人のトップの妻が検察から捜査を受ける異例の事態に
・検察が法相となった曺氏の指揮下に入り、曺氏が妻の捜査に対し横槍を入れる可能性がある
・文大統領は検察の改革を掲げてきたが、曺氏の任命はそれに矛盾するという指摘も
・元外交官6人が政府のGSOMIA破棄決定について「直ちに撤回すべきだ」との声明を発表

【コメンテーターの発言】
姜尚中氏(要約):不買条例にソウル市は反対している。これはあってはならない条例で韓国国内には反対派も多い。曺氏の問題は単なるスキャンダルではなく権力闘争。韓国の検察は操作指揮権をもっていて検察と警察を兼ねていて莫大な権力をもっている。これは大統領官邸と検察との西国の死闘。文政権は日本のように検察と警察を分割して永久執権をつぶしたいと考えている。この切り札が曺氏だったが、彼自身が身から出た錆になってしまった。

大宅映子氏(全文):今までの日本と韓国の争いみたいなのっていうのは、基本的には歴史的な部分が多かったですね。慰安婦だとか領土だとか徴用兵。もういいか、この問題だと。今回の場合は、今の経済韓国に打撃を与えるような、日本が3つの化学品をあげないとかそういうことで、今の戦いになって、それがだから、お金のことだからもう剥き出しになってしまってるっていう。昔は何となくそこら辺は、うまく分けてね、昔の話と今の話は分けてたの。だから韓国からすると、もう今回のは日本が仕掛けてきたんじゃないかっていう。ですよね。だから、そこがね、またこんがらがると思うんですけど、本当によく分からない。申し訳ないけど。よくわからない。日本に勝たなきゃっていうのが私ちょっとよくわからない。

岡本行夫氏(要約):8月15日の演説でも文大統領は北と統一して日本を追い抜き、その時だけ日本は良い国家になれると言っている。どうしてあそこまで激しい反日が染みついているのか。彼は日本には何をしてもいいと思っている。人口わずか28万人の裁判所の判事を徴用工の判決に適しているという理由で韓国の大法院最高裁の長官に任命している。曺氏についても同じ。自分の観念的・感情的な日本に対する批判精神を前提にすべてを行っている。結局は文大統領の責任だと思う。

谷口真由美氏(全文):確かにお隣の国のことではあるんですけど、これだけ時間をかけてやる問題なんかなって私なんかはかえって思うんですよね。あのずーっと1週間テレビをつけてると、この曺国さんのスキャンダルの話をずっとやってたんですけど、いや日本のじゃあ、政治家とか官僚とかで、こういうのに該当してですね、もうちょっと追及しなきゃいけない人っていないんですかっていう気がするんです。例えばだから、厚生労働省の問題なんかも、なんでこのスーッといってるのかなとか、いろんな公文書の問題とかもあると思うんですよね。で、内閣改造近づいてきてる中で、そんな問題が本来議論されるようなとこにきていいんですけど、どうして皆さんそんなに韓国のことばっかりやるんですかっていうのが私なかすごく疑問なんですよ。

松原耕二氏(全文):まあ出口はもちろん見えないんですが、一つはこの1週間で日韓議連の河村建夫さんという、まあ幹事長の方、元官房長官ですけど。李洛淵首相から徴用工問題の解決案を提示されたと。実はこれ8月にすでに日本政府には正式に提出されてるようなんですが、李洛淵さんは否定してるようなんですが、大筋ではそういうことらしいんですね。ただ、これがどうなるかというのはまだ、見つけずにいっぱいあるんですが、河村さんは受け入れるものに発展する可能性はあると。もちろんいろいろあるにしても、これから是非水面下でね、それを続けて、まあ何とか出口が見つかるようにやってほしいと。(関口:1+1+αみたいな、あれですか?)はい。あれも説明するとキリがないんですけど、両方とも受け入れがたいものがまだ横たわっているんです。(関口:お互いに1個ずつ出し合って、で、もう一つ付け加えて解決する)それで韓国政府も必ずそこに中心として入る。1965年の日韓請求権協定の中でもう約束はしてもう決まったというのが日本政府の立場ですから、それを政府が主体もってやってほしい。日本企業は、自発的なら出せるかもしれない形としては。判決に従った形じゃなくて。まあお互いにそれぞれが説明できる形で何とか収められないかということが、まあ難しいんですけど原告をどう説得するかとかですね。ただ、希望はあるんで、やはりこれは大事なことなんです。是非水面下で。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、大宅氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
4、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、大宅氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
大宅氏は今回の報道で、以下のように述べています。

大宅氏(抜粋):今回の場合は、今の経済韓国に打撃を与えるような、日本が3つの化学品をあげないとかそういうことで、今の戦いになって、それがだから、お金のことだからもう剥き出しになってしまってるっていう。昔は何となくそこら辺は、うまく分けてね、昔の話と今の話は分けてたの。だから韓国からすると、もう今回のは日本が仕掛けてきたんじゃないかっていう。ですよね。だから、そこがね、またこんがらがると思うんですけど、本当によく分からない。申し訳ないけど。よくわからない。日本に勝たなきゃっていうのが私ちょっとよくわからない。

要旨をまとめると、
・今回の日韓対立は韓国経済に打撃を与えるべく化学薬品を輸出しないという日本の決定が背景にある。
・昔は歴史問題と現在の問題は別として上手く棲み分けて考えていたので、今回の件は日本が仕掛けたと韓国に思われても仕方がない。

というものです。

しかしながら、
・日本の輸出規制措置は韓国の危険物品管理に安全保障上の懸念があることを受けたもので、管理を適切に実施できる企業には輸出を行なっている。したがって韓国経済に打撃を与えることを目的としたものではないため、大宅氏の主張は事実に即していない。
・韓国は歴史問題を理由に現在の問題について日本に妥協を迫るなどしており、また日本は歴史問題と経済問題、安全保障問題などを混同したことはない。したがって、大宅氏の主張は事実に即したものとは言えない。また、日本がこの問題を仕掛けたという韓国側の立場を一方的に支持するこの発言は政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での大宅氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):確かにお隣の国のことではあるんですけど、これだけ時間をかけてやる問題なんかなって私なんかはかえって思うんですよね。あのずーっと1週間テレビをつけてると、この曺国さんのスキャンダルの話をずっとやってたんですけど、いや日本のじゃあ、政治家とか官僚とかで、こういうのに該当してですね、もうちょっと追及しなきゃいけない人っていないんですかっていう気がするんです。例えばだから、厚生労働省の問題なんかも、なんでこのスーッといってるのかなとか、いろんな公文書の問題とかもあると思うんですよね。で、内閣改造近づいてきてる中で、そんな問題が本来議論されるようなとこにきていいんですけど、どうして皆さんそんなに韓国のことばっかりやるんですかっていうのが私なかすごく疑問なんですよ。

要旨をまとめると、
・確かに韓国は隣の国だが、なぜ韓国国内のスキャンダルばかり報道するのかが分からない。日本の政治家や官僚にも同じように追及すべき人がいるはずだ。
・内閣改造が近いので、厚生労働省の問題や公文書の問題について本来議論がされるべきだ。

というものです。

しかしながら、
・日本国内の政治家や官僚のスキャンダルの追及がされていないという主張に根拠がない。また日本国内におけるこうした問題の報道は、韓国のスキャンダルの報道の是非には影響しない。したがって谷口氏の主張は事実に即していない。
・韓国文政権のスキャンダルを報道する理由が分からない/すべきではないという主張は、一方的に韓国の側に立つもので政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):この1週間で日韓議連の河村建夫さんという、まあ幹事長の方、元官房長官ですけど。李洛淵首相から徴用工問題の解決案を提示されたと。実はこれ8月にすでに日本政府には正式に提出されてるようなんですが、李洛淵さんは否定してるようなんですが、大筋ではそういうことらしいんですね。ただ、これがどうなるかというのはまだ、見つけずにいっぱいあるんですが、河村さんは受け入れるものに発展する可能性はあると。もちろんいろいろあるにしても、これから是非水面下でね、それを続けて、まあ何とか出口が見つかるようにやってほしいと。(中略)日本企業は、自発的なら出せるかもしれない形としては。判決に従った形じゃなくて。まあお互いにそれぞれが説明できる形で何とか収められないかということが、まあ難しいんですけど原告をどう説得するかとかですね。ただ、希望はあるんで、やはりこれは大事なことなんです。是非水面下で。

要旨をまとめると、
・日韓議連の河村氏が韓国首相から以前出された徴用工問題の解決策を提示され、河村氏は前向きな姿勢を示している。こうした水面下の動きが出口に繋がるはずだ。
・日本企業が判決とは無関係に自主的に出資するなど、お互いの妥協点を見つける希望はあるはずだ。

というものです。

しかしながら、
・日韓議連の河村氏の見解は日本政府を代表するものではなく、また日本政府の決定に影響を与えるものではない。
・日本企業が自主的に出資すべきという主張は一方的に韓国の立場に立つもので政治的に公平とは言えない。
・徴用工問題は韓国による明白な国際法違反である。明らかに韓国側に非があるこの問題について日本が水面下で妥協すべきだとする松原氏の主張は、国際法違反の行為を容認する極めて危険なものと言わざるを得ない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第1号「公安及び善良な風俗を害しないこと」、同第2号「政治的に公平であること」、ならびに同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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4、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本と韓国は互いに妥協して問題を解決すべきだ」「日本は歴史問題と経済問題を結びつけるべきではない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「徴用工問題はれっきとした国際法違反であり、日本は妥協すべきではない」「輸出管理は安全保障上の懸念を払拭するためのものだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にて炎上商法とメディアについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 9月11日実施の内閣改造について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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