2019年9月5日 報道ステーション

2019年9月5日 報道ステーション

9月5日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・十分な論点を提示したうえで日露関係の解説がなされていたか

まずは放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):安倍総理大臣がロシアを訪問しましてプーチン大統領と会談しました。これで27回目の会談となったんですね。日本側としましては、この会談でこう着する北方領土問題をなんとか前に進めたいところだったんですが、プーチン大統領、会談の前に思わぬ動きに出ました。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):ここ、ウラジオストクでプーチン大統領が前提条件なしに平和条約を結ぼうと提案してから、およそ1年です。

安倍晋三総理大臣(以下安倍総理):平和条約の締結という使命がある ゴールまでウラジミール2人の力で駆けて駆け、駆け抜けようではありませんか。

ナレ:この演説に先立って行われた首脳会談では…。

プーチン大統領:両国関係は安定的で飛躍的に発展している。二国間の今後の進展について議論したい。

安倍総理:いま君が言ったように未来について 議論していきたい。

ナレ:しかし、北方領土問題ではロシア側からの譲歩は得られず交渉の継続を確認するにとどまりました。安倍総理とプーチン大統領は会談を重ねること27回になりました。去年の秋には、日本は事実上の2島返還方針にかじを切り外交方針を示す「外交青書」でも北方四島は日本に帰属するとの表現を削除するなどロシアに配慮してきましたが…。

メドベージェフ首相:ここはロシア連邦の領土だ

ナレ:先月、メドベージェフ首相が択捉島への上陸を強行したのに続き今日の会談の直前には…。

プーチン大統領:興味深く、利益を生む仕事になると確信している。

ナレ:プーチン大統領自身が色丹島の水産加工場の稼働式にわざわざ中継で参加し実効支配を強調してみせたのです。更に…。

プーチン大統領:平和条約の締結をめぐっては多くの問題がある。日本とロシアの二国間関係だけではない。

ナレ:交渉の進展には日米安保条約が障害になっているとの考えを改めて示しました。両国の溝が浮き彫りになった形ですが11月にも再会談を行うことで合意しました。

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【スタジオ】
富川アナ:11月に28回目の会談を予定するほど蜜月のように見える2人なんですが、それでも北方領土問題は今回も動かなかったという。

内藤正彦氏(以下内藤氏):完全にこう着状態に入っているのが今の状態ですね。
今、ちょうどプーチン大統領も困っている状況で今週末の8日にモスクワ市議会選がある。この市議会選には反プーチンを立候補させないことで毎週土曜日に反プーチンデモがモスクワで起きているんですね。つまりプーチン大統領は今でも支持率は下落傾向ですからとにかく自分の支持層を削り取られるようなことをしたら自殺行為なんですね。
なので、強硬な姿勢を見せなきゃいけない。だから色丹島に出演して水産工場の稼働式に参加した。「自分たちでやるよ、日本が来ないなら」となるんですがやっぱり、本音としては極東の日本への投資というのは喉から手が出るほど欲しいわけで話を前に進めたいけどじゃあ、再来月のAPECでもう1回、ロシアと日本の首脳会談があるんですがここで動くかというとまだ前に動かす材料がない。寄せるための原動力が今のところ生まれてないですね。

富川アナ:日本側は譲歩しているようにも見えるんですがロシア側はずっと強硬姿勢と見えますね。

内藤氏:まだ本質的な隔たりがあるという認識なのでここからまだ駆け引きがあったうえで次また再び動き始めるのかそれとも膠着が続くのかまだそういう状況だと思いますね。

富川アナ:両首脳がお互いの任期中に解決させたいと本人たちも言っているんですがなかなか厳しそうだと。

内藤氏:まだちょっとその辺は不透明ですね。

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【検証部分】

今回取り上げられていたのは北方領土問題にまつわる、日露関係の今後についてです。
スタジオ解説を以下にまとめます。

① 日本は北方領土問題を外交青書から削除するなど配慮をみせている
② プーチン大統領は支持率が低迷しているため、日本に対して強硬な態度をとる必要がある
③ しかしロシアとしては日本の投資が欲しい
④ 北方領土に対する本質的な認識がずれている以上膠着事態が続くことが考えられる

特に④についての論点が十分に取り上げていたかを検証していきます。
該当する発言箇所は以下の通りです。

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内藤氏:まだ本質的な隔たりがあるという認識なのでここからまだ駆け引きがあったうえで次また再び動き始めるのかそれとも膠着が続くのかまだそういう状況だと思いますね。

富川アナ:両首脳がお互いの任期中に解決させたいと本人たちも言っているんですがなかなか厳しそうだと。

内藤氏:まだちょっとその辺は不透明ですね。
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本質的な隔たり、という点について大変重要な論点でもあるにも関わらず、それがなんであるか、分かりません。

この本質的な隔たりというのは、北方領土の歴史を紐解く必要があるでしょう。

北方領土は1945年8月8日にソ連が日本に対して宣戦布告を行い、日本の降伏したのちも8月28日から9月5日まで攻撃を行いました。

日本とソ連は1941年に日ソ中立条約を結んでいたにも関わらず、ソ連はこの中立条約を破棄し、日本へと侵攻を始めました。

これに対して、北方領土はソ連が不当に獲得した領土であるとして、今日まで問題となっているのです。

この本質的な北方領土に関する両国の歴史、認識を語らずに北方領土を取り上げることは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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