2019年10月6日 サンデーモーニング(後編)

2019年10月6日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年10月6日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて日本社会の国際化について報道された部分
② トランプ米大統領のバイデン前副大統領の捜査要求について報道された部分
③ あいちトリエンナーレの補助金不交付について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ あいちトリエンナーレの補助金不交付について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

——–
【VTR要約】
慰安婦を象徴する少女像など展示内容に抗議・脅迫が相次ぎ展示が中止されたあいちトリエンナーレについて、当初国から補助金7820万円が交付予定だったが、文化庁は態度を一転し、申請手続きが不適切だったとして補助金を交付しないことを決定した。これに反発し、文化庁の審査委員の野田邦弘氏が辞任する意向を表明した。
 また、文化庁は補助金不交付を決めた際の議事録を作成していなかったことが明らかとなった。

——–
【アナウンサーによるパネル説明】
荻上チキ氏:脅迫が相次いだことをもって、こういった不交付の決定をするということは、脅迫をした人達に対して、一つの動機づけとかトロフィーを与えることになりますよね。脅迫をすれば補助金剥がしということが成功しますという前例を国が作ったということになるんだと、これはとても恐ろしいことだと思います。こうした文化系の事業というのは、基本的には、お金は出すけれども口は出さない。その構図を確保するために、基本的には、予算の使い方については専門家に意見を尋ねるということになってます。これ交付の段階で尋ねるんですが、交付した後に今度は不交付をするという段階で尋ねないということになれば、気に入らないものはいつでも撤回できるというような、その前例にもなりますよね。つまりこれは専門家の軽視でもあるということもあるので、委員の方がこうやって辞退されるということは、当然のことだと思います。加えて公文書も残っていないということになると、手続き上の瑕疵があるのはむしろ国だということにもなってしまうわけですよね。こうした悪しき前例が続いてしまうということは、とても懸念が必要だと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、萩上氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、萩上氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
萩上氏は今回の報道で、以下のように述べています。

萩上氏(抜粋):脅迫が相次いだことをもって、こういった不交付の決定をするということは、脅迫をした人達に対して、一つの動機づけとかトロフィーを与えることになりますよね。脅迫をすれば補助金剥がしということが成功しますという前例を国が作ったということになるんだと、これはとても恐ろしいことだと思います。こうした文化系の事業というのは、基本的には、お金は出すけれども口は出さない。その構図を確保するために、基本的には、予算の使い方については専門家に意見を尋ねるということになってます。これ交付の段階で尋ねるんですが、交付した後に今度は不交付をするという段階で尋ねないということになれば、気に入らないものはいつでも撤回できるというような、その前例にもなりますよね。つまりこれは専門家の軽視でもあるということもあるので、委員の方がこうやって辞退されるということは、当然のことだと思います。加えて公文書も残っていないということになると、手続き上の瑕疵があるのはむしろ国だということにもなってしまうわけですよね。こうした悪しき前例が続いてしまうということは、とても懸念が必要だと思います。

要旨をまとめると、
・脅迫されたことを理由に不交付の決定をすることは、脅迫の実行犯に対して「補助金剥がし」の動機付けをすることにほかならない。
・「文化系の事業には金を出しても口は出さない」というのが基本で、予算の使い方については専門家に意見を訪ねることになっている。交付した際には専門家に聞くのに不交付を決定する段階で専門家を呼ばないということは専門家軽視であるし、政府による撤回がいつでも可能であるという前例になる。
・公文書が残っていないのであれば、手続き的な瑕疵があるのはむしろ国の方である。

というものです。

しかしながら、
・今回の補助金不交付は愛知県の補助金申請に不備があったことによるものであり、脅迫されたことはその直接の理由ではない。
・今回の補助金不交付は申請不備によって発生した物であり、申請の可否を判断するのは専門家ではなく行政の役割である。したがって、専門家の軽視だという指摘や政府による恣意的な撤回が可能になるという指摘は明らかに事実に反している。
・今回の申請不備による不交付は省内部の事務協議によって判断されたが、これは文化庁では議事録の対象外とされている。また、文化庁の議事録の有無が愛知県の手続き的瑕疵を無効とするものではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での萩上氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

———————————————————————————————————————-
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「あいちトリエンナーレに補助金を交付しないのは言論の自由の弾圧だ」「国はあいちトリエンナーレの表現の自由を守るべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「公的な税金を特定の政治的主張に投入することは行政の中立を損ねるものである」「国はあいちトリエンナーレの表現そのものについて何ら弾圧していない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 「風を読む」にて日本社会の国際化について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

② トランプ米大統領のバイデン前副大統領の捜査要求について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事