TBS「サンデーモーニング」、2019年10月13日放送回の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① 「風を読む」にて台風19号と地球温暖化について報道された部分
② 関電経営トップの引責辞任について報道された部分
③ 「表現の不自由展、その後」の展示再開について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
③ 「表現の不自由展、その後」の展示再開について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
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【VTR要約】
展示内容に抗議・脅迫が相次ぎ中止となっていた表現の不自由展が2か月ぶりに展示内容を変えずに再開された。1300人以上が集まったが、安全確保のため入場できたのは60人となり、報道陣も中の様子は取材できなかった。会場の外では再開に反対する名古屋市の河村市長が抗議活動を行ったが、これに対し愛知県の大村知事は河村市長の行動が常軌を逸しているなどと非難した。
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【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):あのまま中止ってことになっちゃうと、脅迫とか嫌がらせで展覧会を中止にできちゃうって前例になっちゃうという意味で、かろうじて再開、数日間だし。ですけれども再開されたというのは、まあよかったと。実行委員会とか津田大介芸術監督の努力を評価したいなと思うんですが、やっぱりいくつか問題をやっぱり残るわけですよね。つまり、こんだけの厳戒態勢でしかやれないっていうところが今の日本の表現の自由の現状を表しているってのが一つと、それから当初、その政治政権も含めて、あの展示内容に対していろんな評価をするのはもちろん構わないんですけれども、脅迫とかが起きたのに、それをある種むしろ煽ったような形に政治がなってるっていう問題点が一つ。それからもう一つは、補助金の不交付問題ですね。全額不交付を後で決めたら、今後やっぱりこういう展覧会というのは、政権とか政府が気にくわないもの、あるいは気にくわなそうなものを自粛萎縮する方向に働きかねない。それから、その河村市長ももちろんご自身がどんな見解をもつのかは自由なんですけれども、彼は、その市長で会って直接の権限者ですから、ああいう形で行動するということがどういう影響を与えるかってことも考えなくちゃいけないっていう意味でいうと、課題はまだたくさん残されたなという気はします。
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以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。
1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木氏(抜粋):やっぱりいくつか問題をやっぱり残るわけですよね。つまり、こんだけの厳戒態勢でしかやれないっていうところが今の日本の表現の自由の現状を表しているってのが一つと、それから当初、その政治政権も含めて、あの展示内容に対していろんな評価をするのはもちろん構わないんですけれども、脅迫とかが起きたのに、それをある種むしろ煽ったような形に政治がなってるっていう問題点が一つ。それからもう一つは、補助金の不交付問題ですね。全額不交付を後で決めたら、今後やっぱりこういう展覧会というのは、政権とか政府が気にくわないもの、あるいは気にくわなそうなものを自粛萎縮する方向に働きかねない。
要旨をまとめると、
・これだけの厳戒態勢でしか展示を再開できないということが今の日本における表現の自由の無さを表している。
・政権幹部などからあの展示内容について評価が様々あることは良いが、脅迫が起きたのにそれを煽るような形に政治がなっていることは問題である。
・補助金の不交付を後から決定できるようになると、展示会などが政府が気に入らないものを自粛するようになり、表現が萎縮する。
というものです。
しかしながら、
・脅迫はあくまでも刑事事件としての問題であり、今回の展覧会は国家による弾圧などを受けずに開催できている。厳戒態勢で再開したので表現の自由が侵害されているという主張は事実に即していない。
・今回の一件において、政権内部に脅迫を肯定する、煽るような言動を取った政治家はいない。したがって青木氏の主張は明らかに事実に反している。
・補助金不交付が決まった理由は申請内容に不備があったからで、展示会が今後政府の気に入らないものを自粛することになるという主張は明らかに事実に反している。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「慰安婦像などの政治的主張も表現の自由の一部である」「厳戒態勢を取らざるを得ないことが日本の表現の自由の限界だ」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「最大の問題は昭和天皇の写真を焼く、原爆投下を肯定するなどといった内容の展示を公的資金で実施していることだ」「厳戒態勢で行われるSNS投稿禁止などの制約をつける体制こそ表現の不自由ではないか」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
① 「風を読む」にて台風19号と地球温暖化について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。
② 関電経営トップの引責辞任について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。