2019年10月27日 サンデーモーニング(後編)

2019年10月27日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年10月27日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて即位礼正殿の儀について報道された部分
② 菅原経産相辞任について報道された部分
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 菅原経産相辞任について報道された部分における
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):今回一つなんか、在庫一掃みたいな感じでね、論功行賞で大臣を選んだっていう、こう無茶な人の中のうちの一人なんじゃないですかっていうのが政界での分析なんですよね。だから、ある種の政権の驕りっていうことがあるのが一つ。だから任命責任の問題でもそうなんだけど。(中略)もう一つ。何してんのかというと、検察ですよ検察。小野寺さんは書類送検されてるんですよ。今回の件どうなんでしょうか。だから、これまで発覚してる数々の口利き疑惑も、検察何もしてないでしょ。関電だって、億単位の金品授受で何の刑事責任も問われないんですかっていうあたりを、僕らかなりこう、庶民的に言うと感じる人多いと思うんですよね。だからメディア、特に新聞と、それから検察と。一体何してるんですかと。ちゃんと政治をチェックしてくださいっていう思いは、僕もメディアの片隅にいますんで、他人事じゃないんですけれども、少し感じますよね。

要旨をまとめると、
・今回の安倍内閣の人事は論功行賞で選ばれており、その場合は安倍政権のおごりと言えるので任命責任がある。
・今回の問題について検察は何もしていない。これまでの森友・加計問題などの口利き疑惑についても検察は何もしておらず、庶民的には何の刑事責任も問われないことはおかしい。

というものです。

しかしながら、
・今回の人事が論功行賞だという主張に明確な根拠はない。したがって、菅原氏の任命が安倍政権の驕りによるものだという主張は事実に即していない。
・検察の動きがないのは書類送検に向けた準備をしている、あるいは法的に問題がないからであり、現段階で動きがないことを以て検察が何もしていないとする主張は事実に即していない。
・森友・加計問題の口利き疑惑は結局関係者が不起訴になるなど法的に問題がないということが分かっており、あたかも検察が仕事をしなかったかのような主張は事実に反している。
・「庶民的」という指標は青木氏の主観であり事実に即していない。また、検察が刑事責任を問わなかったことを以て「何もしていない」と主張するのは政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

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【VTR要約】
 政府が検討している自衛隊の中東派遣の法的根拠は、調査・研究とされているが、与党内からも異論が出た。公明党北側副代表は、「調査研究を根拠にあんいに自衛隊が派遣されることはあってはならない」と述べた。防衛相・槌道防衛政策局長は、「不測の事態が起きた場合海上警備行動を発令する可能性がある」と発言。自衛隊の活動範囲がなし崩し的に拡大するのではないかという懸念も広まっている。

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【コメンテーターの発言】
藪中三十二氏(全文):これはまあ、もともとアメリカからタンカーの保護ということで出してくれないかという話があったわけですね。ただ、ホルムズ海峡、これ出せませんよね今回。今言われているように調査研究とかなりまあ、中途半端っていうかね、あいまいなことになってますね。あれは僕は行く、自衛隊の船がもし行けばかえって非常に難しい状況に置かれるんじゃないかと思いますね。そうではなくて、今すべきはちゃんとした外交。イランとアメリカとの間にですね、なんとかこれ、話し合いをさせるような、そういう外交をせっかく日本が、世界では日本とフランスぐらいしかできない、それにもっと傾注すべきだと思います。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、藪中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、藪中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
藪中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

藪中氏(抜粋):これはまあ、もともとアメリカからタンカーの保護ということで出してくれないかという話があったわけですね。ただ、ホルムズ海峡、これ出せませんよね今回。今言われているように調査研究とかなりまあ、中途半端っていうかね、あいまいなことになってますね。あれは僕は行く、自衛隊の船がもし行けばかえって非常に難しい状況に置かれるんじゃないかと思いますね。そうではなくて、今すべきはちゃんとした外交。イランとアメリカとの間にですね、なんとかこれ、話し合いをさせるような、そういう外交をせっかく日本が、世界では日本とフランスぐらいしかできない、それにもっと傾注すべきだと思います。

要旨をまとめると、
・ホルムズ海峡への派遣を調査研究という形で出すということになっているが、曖昧なことになっている上に行くと非常に厳しい状況になる。
・今するべきはちゃんとした外交、つまりイランとアメリカの間に入って話し合いをさせるような外交をすべきだ。

というものです。

しかしながら、
・ホルムズ海峡への派遣はアメリカによる対イラン包囲網の性格が強い有志連合に参加しない代わりの措置であり、曖昧であるから問題があるとする主張は事実に即していない。また、これが厳しい状況を生むという主張に根拠がない。
・安倍首相はイランを訪問するなどイラン外交にも注力しており、ちゃんとした外交をしていないとする主張は事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での藪中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「事態の悪化を招くので日本は自衛隊を派遣すべきではない」「武力ではなく外交によって解決すべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「自衛隊による抑制効果は大きな効果を持つ」「外交だけでなく安全の確保も同時に行うべき」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 「風を読む」にて即位礼正殿の儀について報道された部分
については前編の報告を、

② 菅原経産相辞任について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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