2019年11月24日 サンデーモーニング(中編)

2019年11月24日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年11月24日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 韓国によるGSOMIA破棄一時撤回について報道された部分
② 「風を読む」にてローマ教皇来日について報道された部分
③ 日本における初の武器見本市の開催について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風を読む」にてローマ教皇来日について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 原爆投下から間もない長崎で撮影された写真“焼き場に立つ少年”。この1枚の写真に強く心を動かされた人物が先ほど長崎に到着した。
世界13億人以上いるカトリック信者の頂点に立つフランシスコ教皇が来日した。ローマ教皇の来日は38年ぶり2度目となる。ローマ教皇はこの写真に「戦争がもたらすもの」とメッセージを添えて世界中に配布しており、日本だけで20万枚にも及ぶ。ローマ教皇初の中南米出身者であるフランシスコ教皇が就任後、繰り返し語ってきたのは核廃絶への強い想いだった。2017年、国連で122か国の賛成によって核兵器禁止条約が成立したが、唯一の被爆国である日本がこの条約に署名しない中、ローマ教皇が国家元首を務めるバチカンは署名が始まったその日にいち早く批准まで済ませている。
長崎に続いてこの後広島を訪問するフランシスコ教皇は、被爆地からどんなメッセージを発するのだろうか。

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【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(要約):世界宗教と言われる宗教の指導者が人類が抱える不条理に対してきちっとしたメッセージを出していくのはとても大事なことなのでとても注目している。ただもう一つ、最近中国がすごい勢いで台湾と欧州の国で唯一外交関係があるバチカンとの関係に攻勢をかけていて、バチカンが台湾を切って中国と接近するかもしれないという状況がある。ローマ教皇が台湾に行かずに日本に来たことを含め、ローマ教皇の存在が世界を動かす大きな要素になっているところも注目すべきだと思う。

幸田真音氏(全文):ここのところずっと、近代史を舞台にして小説書いてるんですけど、そうすると戦争とか、例えば東京大空襲だとか、もちろんこの、広島長崎の原爆のことも、本当にずっと調べていると、もう改めてこんなに悲惨だったって気がするんです。で、前回あの、当時は法王って言ったね、ヨハネパウロ法王が来られたときに、「戦争は人間の仕業です」とおっしゃってるんです。つまり人間がやることなんだと。ってことは人間がやらないっていうこともできるんだと。さっきのあの武器輸出のね、緩和されたって話出てきましたけれども、なんかここのところ見てるとどんどん戦争に向かっていくような、なんかそういう怖さを感じるんですよね。だから絶対ここ、70年間戦争してこなかった日本としてね、戦争絶対しないっていう、こういうメッセージを強くね、今回の教皇にも言っていただきたいし、納得すると思うので、ぜひそれをお願いしたいと思います。

中西哲生氏(要約):今回改めて、子どもたちがもつ素直な心やローマ教皇の言葉をしっかり受け止めた上で、当事者である日本人として恥ずかしがらず「戦争はあってはいけないもの、原爆は廃絶に向かっていくもの」とメッセージを発することが重要だと思った。

涌井雅之氏(要約):地球環境の変化が人類の生存に非常に大きく関わるような状況になっていて、核兵器はそれにピリオドを打ちかねない存在。それを廃絶するという教皇のお考えはまったくその通り。今我々は神の領域に泥靴で踏み込むような科学や技術の発展がある。倫理観や宗教心が改めて問われている時期。未来に対する覚悟を写真の少年の姿勢から学んでしっかり考えていくことが必要。

青木理氏(全文):教皇のメッセージいろいろね、出ました。反戦だったり平和だったり核兵器の廃絶だったり。それから地球環境の問題もそうなんでしょうけど、僕が注目してるのはもう一つあって、死刑制度ですよね。実はあの明日のミサにその袴田巌さん、あの50年間獄中で居られてどうも冤罪なんじゃないかということで再審請求中なんですけれども、釈放されている袴田さんを呼ばれてるらしいんですね。で、フランシスコ教皇自身、もともとカトリック教会っていうのは死刑反対なんですけれども、教皇自身さらに進めて死刑制度を許容できないとまでおっしゃっているんです。これまでね、で、世界的にみると、もう実は死刑廃止ってのが圧倒的な潮流で、確か140か国くらいがもう廃止国家、事実上の廃止国なんですね。国連加盟国数でいうとだいたい7割くらいが死刑廃止に舵を切っている。で、一方で先進民主国で死刑やってるのは日本とアメリカの一部の州ぐらいなんですね。だから、これ日本は去年もね、13人オウムの幹部を死刑にしましたけれど、これ世界の潮流からは外れてるっていう辺りを、今回内政干渉になるのでどこまで教皇が言うか分からないんですけれども、ちょっと今回、教皇の来日ってことをきっかけにして死刑制度も考えてみるきっかけにした方がいいんじゃないかなと僕は思ってます。
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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、幸田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、幸田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
幸田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

幸田氏(抜粋):さっきのあの武器輸出のね、緩和されたって話出てきましたけれども、なんかここのところ見てるとどんどん戦争に向かっていくような、なんかそういう怖さを感じるんですよね。だから絶対ここ、70年間戦争してこなかった日本としてね、戦争絶対しないっていう、こういうメッセージを強くね、今回の教皇にも言っていただきたいし、納得すると思うので、ぜひそれをお願いしたいと思います。

要旨をまとめると、
・日本の武器輸出緩和などを見ていると、ここのところどんどん戦争に向かっていくような怖さを感じる。
・70年間戦争してこなかった日本としては「絶対戦争はしない」というメッセージを教皇からいただきたいし、国民も納得するだろう。

というものです。

しかしながら、
・日本の武器輸出緩和は、次の戦争を引き起こすものではない。昨今の日本が「戦争に向かっている」という主張には何ら根拠がなく、幸田氏の感想に過ぎない。
・日本が70年間戦争状態になかったことは、今後の日本の国防政策に影響を与えるものではない。
・9条改正を含む憲法改正の議論がある中で、ローマ教皇に「絶対戦争はしない」というメッセージの発信を日本国民に対し求める主張は政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での幸田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「バチカン市国は核兵器禁止条約に調印するなど平和主義にまい進している、日本ももっと平和主義を進めるべきだ」「日本は70年間戦争をしてこなかった国なので、これからも戦争反対を貫くべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「核兵器禁止条約は核保有国が参加しないなど実態のないもので調印する必要性がない」「東アジア情勢が不透明な今、憲法改正を含めて日本の国防を考え直す必要がある」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にてローマ教皇来日について報道された部分における
 検証3 青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

ならびに
③ 日本における初の武器見本市の開催について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 韓国によるGSOMIA破棄一時撤回について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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