2019年12月1日 サンデーモーニング(前編)

2019年12月1日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年12月1日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 香港の区議選とアメリカによる香港人権法成立について報道された部分
② 桜を見る会の新たな「疑惑」について報道された部分
③ 入国管理局における長期滞在者問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 香港の区議選とアメリカによる香港人権法成立について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 香港で行われた区議会議員選挙では、民主派議員が選挙前7割を占めていた親中派を圧倒し、8割を超える議席を獲得した。投票率は過去最高の71.2%。しかし翌日、林鄭行政長官は「選挙結果は重く受け止める」としたものの、普通選挙の実現など要求には応じない姿勢を示した。
 中国をめぐっては、中国政府の内部文書が世界に衝撃を与えている。ICIJが、中国政府が大規模監視システムを用いてイスラム教徒の少数民族ウイグルの要注意人物を施設に強制収容し、中国語を使った思想教育を行っていると報じた。CERDでは、収容者は最大100万人に及ぶと報告されている。ICIJに加盟する英ガーディアン紙に対し、中国の駐英大使は報道を否定しているが、実は香港でも同じような収容施設が作られるのではないかと一部メディアが伝えた。
 一方、トランプ大統領が香港人権・民主主義法案に署名し法律が成立した。

【アナウンサーによるパネル説明】
水野真裕美アナ(全文):VTRにもありました、アメリカで成立したこの香港人権・民主主義法なんですが、香港で人権侵害に関わった当局者への制裁ができるようになり、高度な自治を認める一国二制度が守られているか監視といった内容です。これは先月20日、アメリカ議会で超党派の議員、とりわけ共和党のタカ派が支持して可決しました。しかしトランプ大統領が署名をしたのは27日になってから。法案を難航する米中貿易交渉のカードとするのではないかという見方もありましたが、結局署名しました。トランプ大統領は、アメリカ議会で自らの弾劾が取り沙汰される中、身内の共和党議員が離反しないように歩み寄ったという指摘もあります。その中国を見てみますと、主なものでも、今回の香港のデモ隊に対する警察の取り締まり強化への指示や、少数民族ウイグルへの抑圧、またチベット仏教途への抑圧。そして、中国での人権派弁護士の長期拘束など、国際社会から多くの人権問題を指摘されています。しかし中国政府は強硬な姿勢を貫いたままです。

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【コメンテーターの発言】
岡本行夫氏(全文):特にあの、やっぱり習近平政権になってから少数民族や離反者への弾圧が強くなってきてますね。本来やっぱりアメリカ、それからイギリスですね、香港を中国に返還することに同意した時の1983年の条約があるわけですから、それに中国側が反してるんだからモノを言わなきゃいけない。それがまあ、お家の事情でイギリスも何も言えない。それから、アメリカが、この香港人権法っていうのはかなり効力がある法律のはずなんですが、元々トランプ大統領という人は人権感覚の薄い人ですしね、共和党の中で突き上げられて署名して、だから、普通だったらもう麗々しく、周りに議員さんとか、それから閣僚とかずらりと並べてやる署名式も全然やってませんしね、ですからやっぱり、国際世論がアメリカに対してもう少し責任を果たしてくれってことを強く言ってくってのは大事じゃないですかね。

安田菜津紀氏(要約):デモに参加していないからといって香港政府に賛同しているわけではないということが今回の選挙で可視化された。人権が蹂躙されたり危機にある場所にとっては、世界の目が背いていくこと自体が脅威。だからこそ私たちは見ているんだというリアクションが引き続き欠かせない。
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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、水野アナの説明に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、岡本氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、水野アナの説明に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
水野アナは今回の報道で、以下のように述べています。

水野アナ氏(抜粋):VTRにもありました、アメリカで成立したこの香港人権・民主主義法なんですが、香港で人権侵害に関わった当局者への制裁ができるようになり、高度な自治を認める一国二制度が守られているか監視といった内容です。これは先月20日、アメリカ議会で超党派の議員、とりわけ共和党のタカ派が支持して可決しました。しかしトランプ大統領が署名をしたのは27日になってから。法案を難航する米中貿易交渉のカードとするのではないかという見方もありましたが、結局署名しました。トランプ大統領は、アメリカ議会で自らの弾劾が取り沙汰される中、身内の共和党議員が離反しないように歩み寄ったという指摘もあります。

要旨をまとめると、
・アメリカで成立した香港人権・民主主義法はアメリカ議会の超党派議員、とりわけ共和党タカ派が支持して可決した。
・トランプ米大統領が署名したのは11月27日と遅かったが、これは米中貿易交渉のカードとしてこの法案を利用しようとしたことや、米国議会で身内の共和党議員が離反しないように歩み寄った事が関係している。

というものです。

しかしながら、
・香港人権・民主主義法は米議会の上院では全会一致、下院でも反対票が1票のみとほぼ全会一致で可決しており、「とりわけ共和党のタカ派が支持して可決」という水野アナの説明は明らかに事実に反している。
・トランプ米大統領がこの法案を米中貿易交渉のカードとして利用しようとしたという主張、ならびに身内の共和党議員が離反しないように歩み寄ったという主張には何ら根拠がない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での水野アナの説明は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、岡本氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡本氏は今回の報道で、以下のように述べています。

岡本氏(抜粋):特にあの、やっぱり習近平政権になってから少数民族や離反者への弾圧が強くなってきてますね。本来やっぱりアメリカ、それからイギリスですね、香港を中国に返還することに同意した時の1983年の条約があるわけですから、それに中国側が反してるんだからモノを言わなきゃいけない。それがまあ、お家の事情でイギリスも何も言えない。それから、アメリカが、この香港人権法っていうのはかなり効力がある法律のはずなんですが、元々トランプ大統領という人は人権感覚の薄い人ですしね、共和党の中で突き上げられて署名して、だから、普通だったらもう麗々しく、周りに議員さんとか、それから閣僚とかずらりと並べてやる署名式も全然やってませんしね、ですからやっぱり、国際世論がアメリカに対してもう少し責任を果たしてくれってことを強く言ってくってのは大事じゃないですかね。

要旨をまとめると、
・トランプ米大統領は人権感覚の薄い人なので、今回の法案についても共和党に突き上げられて署名したものだし、普段議員や閣僚を集めて行う署名式も行っていない。アメリカはもっと責任を果たすべきだ。

というものです。

しかしながら、
・トランプ米大統領が法案に署名が遅れた理由を「共和党に突き上げるまでやらなかった」「人権感覚が薄いからだ」とする主張は根拠に即しておらず、また政治的に公平とは言えない。
・法案への署名式を実施していないことは、トランプ米大統領の人権感覚の薄さを立証するものではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での岡本氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、政治的に公平でない内容を放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 桜を見る会の新たな「疑惑」について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 入国管理局における長期滞在者問題について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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