2019年12月23日 報道ステーション

2019年12月23日 報道ステーション

12月23日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・日韓関係について様々な論点を提示した放送がなされていたか

まずは放送内容を確認します。

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ)です。安倍総理は日中韓首脳会談に出席するため今日から中国を訪れています。日中首脳会談は今日夕方、行われましたが注目は、明日1年3か月ぶりに行われる日韓首脳会談です。冷え込んでいる日韓関係は改善されるのでしょうか。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):これが年内最後の外遊です。

安倍晋三総理大臣(以下安倍総理)『このように習主席と議論を重ねる中においてお互いの理解が深まりつつあると感じています。』

周近平国家主席『総理と緊密な意思疎通を保って政治的なリーダーシップを強化し中日関係を新しい段階に押し上げたい』

ナレ:両首脳は来年の習主席の国賓訪問を有意義なものとすべく努力することで一致しました。その一方で、北朝鮮問題では、中国とロシアが国連安保理で提案した制裁緩和案について、習主席から支持するよう頼まれました。日本は、制裁緩和は時期尚早だとの立場を崩していません。安倍総理は香港やウイグルの問題を提起しましたがこれは中国の内政問題であると返されたそうです。明日は1年3か月ぶりとなる文在寅大統領との会談です。日本を出発する前安倍総理は…。

安倍総理『日韓関係は依然として厳しい状況にありますが、現下の東アジアの安全保障環境を考えれば、日米韓、日韓の連携が重要であると認識しています。他方、国と国との約束は守ってもらわなければなりません』

ナレ:戦後最悪といわれる日韓関係ですが少しずつ空気が変わってきています。先月、国際会議の場で両首脳は10分ほど言葉を交わしました。正式な会談ではありませんでしたがここから事態は動き始めたのかもしれません。

韓国大統領府『いつでもGSOMIAを終了させることができる前提で破棄を停止することにした』

ナレ:軍事情報保護協定の破棄はアメリカからの圧力もありギリギリで回避。今月に入ると輸出管理について話し合う日韓局長級対話が3年ぶりに行われました。用意されたのは広い会議室。ポットや飲料水も準備されています。夏に行われた事務レベル会合との差は歴然でした。

梶山弘志経済産業大臣『今後も引き続き懸案の解決に資するべく、輸出管理、政策対話と意思疎通を継続していくことに合意を致しました』

ナレ:そして、先週金曜日日本は輸出管理強化の対象にしている3品目のうち1つについて一部運用を見直したと発表しました。特定企業に限りますが事実上の緩和措置です。これについて、韓国政府は…。

韓国政府『今回の措置は日本政府が自発的に取ったもので一部進展と見ることもできますが根本的な解決策としては不十分です』

ナレ:韓国側が求めているのは輸出規制をやめ以前の状態に戻すことですが日本側が求めているのは輸出管理の適切な実施です。こうした中行われる日韓首脳会談。問題解決への道が開けるかは不透明なままです。それでも関係修復に向けた姿勢を見せているのはあの国がいるからです。

北朝鮮外務次官の談話『クリスマスプレゼントに何を選ぶかは米国の決心次第だ』

ナレ:北朝鮮は、アメリカとの非核化交渉の期限を年末までと宣言しています。決裂すれば、再びICBM・大陸間弾道ミサイルの発射実験などを行う可能性が指摘されています。すでに今月、2度にわたって非常に重大な実験を行ったと発表。ICBM用エンジンの実験だとみられています。この状況に官邸幹部は…。

官邸幹部『日韓関係改善は簡単ではないが、北朝鮮問題でなら足並みをそろえられる』
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【コメンテーターによる解説】
徳永アナ:北朝鮮の動きをにらみながら明日、日韓首脳会談ということですけれども空気が変わってきはじめているのかそうじゃないのか内藤さんはどうご覧になりますか。

内藤正彦氏(以下内藤氏):一気に改善に転じることはないにしても、改善のきっかけになってほしいと両国は思っていると思います。ただ、今日一番新しい情報だといやな流れが出てきて韓国側にですね。いわゆる議長案ってあるじゃないですか。ムン・ヒサン議長が作った。要するに賠償金じゃなくて寄付金で賠償しようという。期限を設けたりあるいは時効の概念を得たり日本の議員の中にもこれを認めるような動きもあったんですが韓国大統領府の高官がこれじゃ解決にならないとばっさり2日前に言っちゃったんですね。それまで、賛成が反対を上回っていたのが、空気が変わっちゃって反対側が今日の世論調査で逆転しちゃったんですよ。なので、文在寅大統領にしてもただでさえ世論に非常に敏感な大統領なので日本に対して弱腰だってとられるような外交姿勢はとりにくくなっているかなと。

徳永アナ:じゃあ文在寅政権としては強硬な態度は変わらないのではないかと。一方、日本もスタンスは変える予定は当面はもちろんないですよね。

内藤氏:だからいわゆる議長案というのが日韓の溝を埋めるものではないにしても話し合いの起点にはなるじゃないですか。ただ、それも奪われてしまうといわゆる外交上ののりしろが奪われた状況で何をきっかけに好転させていくかそこは環境設定的には難しくなっているかなという気はしますよね。

徳永アナ:明日、解決の糸口を見つけられるのかどうかですね。1年3か月ぶりですから注目したいと思います。

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【検証部分】
放送内容を簡単にまとめます。
① 日本が韓国に対する輸出管理規制を一部緩和
② 韓国は日本に対して規制以前の状態を、日本は韓国に対して適切な輸出管理を求める
③ 抜本的な関係改善は難しいが、日本としては北朝鮮に対してならば足並みを揃えられると考えている

また内藤氏によるスタジオ解説では、韓国の反日的な世論があるため文大統領は日本に対して妥協することはできないとの解説を加えています。

まとめると日韓関係の改善は難しいということが放送から分かりません。
しかし、日韓関係悪化の原因はどこにあるのか、争点はどこにあるのか、といったことが全く分かりません。

放送では輸出管理というキーワードが出てきますが、この輸出管理についても論点が分かりません。

この輸出管理とはどういったものなのでしょうか。
韓国は徴用工問題に関する報復措置だと捉えていますが、政治的なものではなく安全保障のためにも必要なものであるという可能性が高いものなのです。

韓国は兵器に転用が可能な工業原料の輸出管理が不十分なのです。
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韓国の貿易管理体制には、安全保障上の疑義があります。「半導体生産のため」という名目で韓国に輸出されていたフッ化水素などの工業原料の一部が行方不明になっているからです。フッ化水素は半導体の製造に不可欠ですが、同時に広島型原爆製造の前提となるウラン濃縮の際に大量に必要な物質でもあります。
《引用:president online 茂木誠 韓国への輸出管理を厳正化すべき歴史的な事実》
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この輸出管理が徹底されなければ、北朝鮮や中東などに日本からの輸入品が悪用される可能性もあります。
そのため、日本としては韓国への輸出管理を強化しているのです。

このように論点を欠いた放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けて参ります。

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