2019年12月22日 サンデーモーニング(前編)

2019年12月22日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年12月22日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① トランプ米大統領の下院での弾劾訴追について報道された部分
② 徴用工問題における韓国国会議長案への反発について報道された部分
③ 「風を読む」にて日本の今年の景気について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① トランプ米大統領の下院での弾劾訴追について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 トランプ大統領を弾劾訴追する決議法案が可決された。
トランプ政権は、北朝鮮への制裁を強化する国防権限法を成立させ北朝鮮への締め付けを強めているが、北朝鮮は重大な実験を行ったと発表し強気の構えを崩していない。一方、トランプ大統領の弾劾決議案が可決されるなど、トランプ政権に大きな問題が降りかかっている。弾劾裁判が行われる上院では罷免される可能性は低いとされ、支持率も依然4割以上をキープしているが、なぜトランプ大統領それだけの支持を集めるのだろうか。
その手法の一つがTwitterなどにより情報発信である。トランプ大統領はこれまでも民主党を攻撃するtweetを数多く投稿。自分の都合のいい話だけを一方的に発信し続けるトランプ大統領に支持者は、「トランプ大統領はソーシャルメディアで私たちに直接語り続ける。これは歴史上最大のムーブメント」と語った。
アメリカ社会の分断は一層深刻になっている。

【アナウンサーによるパネル説明】
・弾劾訴追に対する世論調査では、反対が賛成を上回った。(反対48.0%、賛成47.2%)
・その背景にはTwitterなどを使った戦略が支持者に響いているという指摘がある
・大統領は就任以降のtweet(約1万1000件)を分析すると、約半分が誰か・何かへの攻撃だった
・このうち約2000件が自画自賛だった
・今月12日のツイート数は123件にも上った
・トランプ大統領は、「大統領選挙の勝因はソーシャルメディア」と話している

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【コメンテーターの発言】
西崎文子氏(全文):そもそも弾劾訴追・弾劾裁判は、世論調査とはちょっと違う論理で動くはずのことなんですけれども、それでもやはり世論は無視できないと。で、今回やはりとても特徴的だなと思うのは、まずトランプ大統領ってのは、これは分かっていることですけれど、過ちを認めるという能力がない。ですから、ないと思いますね。過ちを認めたことは本当に一切ない人で、ですから、かなりの問題が起こっているにも関わらず、権力の濫用、敵には一切過ちを認めず笠に着てソーシャルメディアを使っていると。で、しかもその議会がやはり問題で、議会が議会としての、大統領府とは違う権力の行使ってことにこだわらない。特に共和党がもうホワイトハウスと協力してこれを乗り切るんだってことを鮮明に打ち出しますから、ですから、やはりアメリカの政治制度も変わったなって気がします。

犬山紙子氏(全文):私自身もTwitter使ってるんですけど、一日123回も更新記録、するっていうのは、普通の方からすると、もうミュートするかブロックするか、フォロー外します。それぐらいタイムラインが埋まってしまうことなんですよね。でも、なんでこれだけやるかっていうと、逆に言えばその支持層が、これくらいの他者を攻撃するtweet内容だとかは共感して、もっともっと支持したくなるっていう。なので、今の支持層をより強固にするのには、これぐらいのtweetを何度も何度もするってとても効果的なんだろうなと思っていて、なのでこのTwitterの使い方で、本当に分断がより深くなっているんだろうなっていうのはTwitter使ってる自分でも感じます。ただ、このTwitterって永遠のものではないので、このTwitterというものが、サービスがなくなったときにじゃあトランプさんはどうするのかなってのは疑問としてあります。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、西崎氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、犬山氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、西崎氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
西崎氏は今回の報道で、以下のように述べています。

西崎氏(抜粋):で、今回やはりとても特徴的だなと思うのは、まずトランプ大統領ってのは、これは分かっていることですけれど、過ちを認めるという能力がない。ですから、ないと思いますね。過ちを認めたことは本当に一切ない人で、ですから、かなりの問題が起こっているにも関わらず、権力の濫用、敵には一切過ちを認めず笠に着てソーシャルメディアを使っていると。で、しかもその議会がやはり問題で、議会が議会としての、大統領府とは違う権力の行使ってことにこだわらない。特に共和党がもうホワイトハウスと協力してこれを乗り切るんだってことを鮮明に打ち出しますから、ですから、やはりアメリカの政治制度も変わったなって気がします。

要旨をまとめると、
・周知の事実だがトランプ米大統領は過ちを認めたことがないため、過ちを認める能力がない。かなりの問題が起きているにもかかわらず権力の乱用を一切認めずソーシャルメディアを使って支持者を扇動している。
・共和党がホワイトハウスとの協力を鮮明に打ち出すなど、議会が議会として大統領府とは違う権力の行使をすることにこだわらなくなった。アメリカの政治制度は変わってしまった。

というものです。

しかしながら、
・トランプ米大統領が過ちを認めたことがない、過ちを認める能力がないという主張は何ら根拠のない誹謗中傷と言わざるを得ない。またソーシャルメディアを用いて直接有権者に訴える独自の広報戦略について「権力の乱用」「扇動している」とする主張は明らかに政治的公平性を欠く。
・アメリカの大統領府と議会は互いに独立し均衡を保つことが特徴ではあるが、これは与党と大統領がある特定の問題について協力することを否定するものではない。同様にホワイトハウスと共和党がこの問題について協力することだけを以てアメリカ政治制度が変わったとする主張は事実に即しているとは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での西崎氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、犬山氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
犬山氏は今回の報道で、以下のように述べています。

犬山氏(抜粋):私自身もTwitter使ってるんですけど、一日123回も更新記録、するっていうのは、普通の方からすると、もうミュートするかブロックするか、フォロー外します。それぐらいタイムラインが埋まってしまうことなんですよね。でも、なんでこれだけやるかっていうと、逆に言えばその支持層が、これくらいの他者を攻撃するtweet内容だとかは共感して、もっともっと支持したくなるっていう。なので、今の支持層をより強固にするのには、これぐらいのtweetを何度も何度もするってとても効果的なんだろうなと思っていて、なのでこのTwitterの使い方で、本当に分断がより深くなっているんだろうなっていうのはTwitter使ってる自分でも感じます。ただ、このTwitterって永遠のものではないので、このTwitterというものが、サービスがなくなったときにじゃあトランプさんはどうするのかなってのは疑問としてあります。

要旨をまとめると、
・私もTwitterを使っているが、1日123回ツイートするのは普通の人からするとフォローを外すかブロックするかミュートするくらいの行為だ。
・これだけのツイートをするのはこうした他者を攻撃するツイートが支持層の共感を呼ぶからで、分断が深まっている。
・Twitterは永遠のものではないので、Twitterがなくなったときにトランプ米大統領がどうするか疑問だ。

というものです。

しかしながら、
・「1日123回のツイートが異常」だとする主張の根拠が犬山氏個人のTwitter利用体験に基づく主観的な感想に過ぎず、客観的根拠に欠ける。また、トランプ米大統領には現在6800万人を超えるフォロワーがいることからも事実に即しているとは言えない。
・「トランプ米大統領のツイートが他者を『攻撃』するもの」で、「そのツイートが支持者の共感を呼ぶ」ため「分断が深まっている」というこれらの主張には客観的な根拠がまったくなく、政治的に公平とも言えない。
・トランプ米大統領の用いるソーシャルメディアを用いた広報戦略はTwitter以外でも応用可能であり、Twitterがなくなった場合にトランプ大統領が困るという主張は事実に即しているとは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での犬山氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「下院で弾劾決議が可決しておりトランプ米大統領にかかる疑惑は重大だ」「弾劾訴追に対する世論調査で反対が賛成を上回り、支持室が下がらないのはSNSを利用した戦略によるものだ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「下院で民主党が多数を占めるからといって、トランプ憎しで根拠に欠ける疑惑に関する弾劾が可決する方が問題だ」「トランプ米大統領が支持される根本の理由から目を背けてすべてをSNSのせいにすべきではない」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 徴用工問題における韓国国会議長案への反発について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 「風を読む」にて日本の今年の景気について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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