2019年12月29日 サンデーモーニング(前編)

2019年12月29日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年12月29日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 出生数初の90万人割れについて報道された部分
② IR事業における不正とIRへの疑念について報道された部分
③ 辺野古移設の工期と総工費拡大について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 出生数初の90万人割れについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 今年生まれた子供の数が推計で86万4000人と、統計開始以来初めて90万人を割り込んだことが分かった。予想を2年上回る早さだったという。死亡数は推計137万6000人と、戦後最多で日本の人口は13年連続死亡数が出生数を上回ったことになる。

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【コメンテーターの発言】
谷口真由美氏(全文):1994年にカイロ人口会議というところで、リプロダクティブライツとかリプロダクティブヘルスっていう言葉が出てくるんですけど、これはですね、性と生殖の健康とか性と生殖の権利。全てのカップルと個人が自由に意思を持っていつ産むか、産むならどういう情報を得れるかっていうことを決められる権利って言ったんですけれども、それから25年経って日本の推計っていうのはその時よりも、もう早い勢いで子どもが減ってると。これある意味、産みたいのか、産みたくないのかじゃなくって、産みたくても産めないとか、産んでやるもんかと思ってる人が居てるっていうことも考慮に入れなきゃいけないわけですね。で、また一人目産んでも二人目産めないっていう人達も沢山おられると。これなんでかってやっぱり経済的な要因とか、社会で子育てをするっていうことがやっぱ広がっていないからだということが挙げられると思うんですね。

藪中三十二氏(要約):少子化は世界から見て日本が抱える最大の安全保障上のリスク。フランスが成功した理由は、子どもをもつことにお金がかからないようにすることと、育児所を無料にすること。さらには3年間産休で戻ってきてもちゃんと働く場所を作るだけでなく、3年間働いていたとみなして昇級しなければいけないという取り組みをしたから。それぐらいやって始めてうまくいったので、大胆な取り組みをしなければ変わらない。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):1994年にカイロ人口会議というところで、リプロダクティブライツとかリプロダクティブヘルスっていう言葉が出てくるんですけど、これはですね、性と生殖の健康とか性と生殖の権利。全てのカップルと個人が自由に意思を持っていつ産むか、産むならどういう情報を得れるかっていうことを決められる権利って言ったんですけれども、それから25年経って日本の推計っていうのはその時よりも、もう早い勢いで子どもが減ってると。これある意味、産みたいのか、産みたくないのかじゃなくって、産みたくても産めないとか、産んでやるもんかと思ってる人が居てるっていうことも考慮に入れなきゃいけないわけですね。で、また一人目産んでも二人目産めないっていう人達も沢山おられると。これなんでかってやっぱり経済的な要因とか、社会で子育てをするっていうことがやっぱ広がっていないからだということが挙げられると思うんですね。

要旨をまとめると、
・1994年のカイロ人口会議でリプロダクティブヘルス/ライツについての概念が提唱され、カップルの自由意志に基づく出産が提唱された。25年経つ今の日本はその当時より早い勢いで子供が減っている。これは子どもを産みたいのか否かということではなく、産みたくても産めないという人や「産んでやるもんか」という人がいることを考慮に入れるべきだ。
・一人目を産めても二人目を産めない人がたくさんいる。ので、やはり経済的な要因や社会での子育てという概念が広がっていないからだ。

というものです。

しかしながら、
・日本の人口減少が「子どもを持たない」というカップルの自由意志によるものではないとする主張に根拠がない。
・「『産んでやるもんか』という人がいる」という主張は、日本社会や政策を非難するために架空の極端なケースを設定してそれを根拠に批判を展開するもので、事実に即しておらず政治的に公平とも言えない。
・谷口氏の分析はすでに結婚している人の話であり、そもそも子どもを1人も持てない人や若者が結婚しない/できないなど少子化には若者特有の様々な背景があることを見落としている。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「少子化が進むのは子育てについての環境が整っていないからだ」「少子化を止めるためにはフランスのような大胆な取り組みが必要だ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「子育ての環境だけでなく若者の価値観の変容なども大きな影響を与えている」「日本にはフランスのような大胆な取り組みを実施するほどの財源も人員もない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② IR事業における不正とIRへの疑念について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 辺野古移設の工期と総工費拡大について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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