2019年12月29日 サンデーモーニング(後編)

2019年12月29日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年12月29日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 出生数初の90万人割れについて報道された部分
② IR事業における不正とIRへの疑念について報道された部分
③ 辺野古移設の工期と総工費拡大について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② IR事業における不正とIRへの疑念について報道された部分における
検証3「松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 辺野古移設の工期と総工費拡大について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):もう一つ付け加えると、確かに幼稚な、ものすごく幼稚な事件に見える。ただ、これまでは政治家っていうのは「秘書が秘書が」とかですね、って逃げてきたり、あるいは「秘書たちが親分のために」と被ったりとかいうこともあったりして、政治家の立件のハードルは高かったと思うんですね。ところが10年ぶりにこれができたということは、もちろんまだ容疑の段階ですけども、これはもちろん特捜部の意思もあるでしょうけども、一方でやっぱり司法取引が行われてるんじゃないかという話があって。司法取引を使うことで逃げられなくなるんじゃないかと。これからまあ政治に切り込む一つの武器になり得るのかもしれない。そういうとこをちょっと見た方がいいなと思いますね。もう一つは、皆さんおっしゃったように、やっぱりカジノっていうのはものすごく犯罪の温床になり得るわけですね。例えば暴力団が入ってきたり、あるいはマネーロンダリングっていうのも世界で実例がありますし。だからまあ、例えばネバダ州、先ほどのラスベガスもなんか、ものすごく厳しい法律を作ってるわけですね。例えば、業者が反社会勢力と接触しただけでも営業停止になったりですね、だから、本当にこれ必要なのかカジノがという気持ちがものすごく私もありますけども、もしやるならば、そのぐらい強い法律を作るっていうような覚悟を決めないと、また犯罪っていうのはこれ、起き得る。十分起き得ると思いますね。

要旨をまとめると、
・暴力団が入ってきたりマネーロンダリングの実例があったりなど、カジノはものすごく犯罪の温床になる。ラスベガスについても厳格な法律を作って運営している。
・カジノが必要なのか疑問だが、やるなら強い法整備が必要だ。犯罪は十分起きうる。

というものです。

しかしながら、
・マカオやシンガポールを始めカジノ施設を設置することで治安の見直しが図られ、治安が良くなった事例が多数存在しており、カジノが犯罪の温床になるという主張は事実に即しているとは言えない。
・マネーロンダリングの対策についても、既存の法制度への上乗せが検討されるなど十全な準備が行われている。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 辺野古移設の工期と総工費拡大について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

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【VTR要約】
 沖縄のアメリカ軍基地辺野古移設問題で、防衛省は工期が当初の5年から9年3ヵ月に延びると発表した。軟弱地盤の改良工事が必要となったためで、普天間基地の返還は2030年代以降にずれ込む見通しとなった。玉城知事は「辺野古移設では普天間飛行場の1日でも早い危険性の除去につながらないということが明確になった」と述べた。総工費についても推定の3倍近い約9300億円まで膨れ上がる試算も公表された。

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【コメンテーターの発言】
松原耕二氏(全文):もっと延びると私は思いますけど、もう一回原点にちょっと戻りたいんですけど、92年に少女暴行事件っていうのが沖縄であって。県民の怒りが後押しして普天間返還になったわけですね。代わりに小さいヘリパッドを作るっていうことはあったんですが、どう見てもあれは返還だったわけですね。ところがいつの間にか移設に変わって、基地機能が強化された新基地になっていったわけですね。これつまり得をしたのはアメリカの海兵隊で、まあこれ焼け太りと言っても僕はいいと思うんですね。それを政府は、どんな時間をかけても、どれだけお金がかかっても、それを実現させようとしているのが今の現状で。その、何故、最初はその県民に寄り添うはずだった。県民のために異議申立てを叶えるためにやった返還が、それがなぜ沖縄と全面対決をして、こんなに強行するとになってしまったのかと。これは何でなんだろうかと。これをもう一回私は立ち止まって考えるべきだと思いますね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):もっと延びると私は思いますけど、もう一回原点にちょっと戻りたいんですけど、92年に少女暴行事件っていうのが沖縄であって。県民の怒りが後押しして普天間返還になったわけですね。代わりに小さいヘリパッドを作るっていうことはあったんですが、どう見てもあれは返還だったわけですね。ところがいつの間にか移設に変わって、基地機能が強化された新基地になっていったわけですね。これつまり得をしたのはアメリカの海兵隊で、まあこれ焼け太りと言っても僕はいいと思うんですね。それを政府は、どんな時間をかけても、どれだけお金がかかっても、それを実現させようとしているのが今の現状で。その、何故、最初はその県民に寄り添うはずだった。県民のために異議申立てを叶えるためにやった返還が、それがなぜ沖縄と全面対決をして、こんなに強行するとになってしまったのかと。これは何でなんだろうかと。これをもう一回私は立ち止まって考えるべきだと思いますね。

要旨をまとめると、
・原点は92年に起きた少女暴行事件であり、沖縄県民の怒りが普天間返還という流れになった。代わりに小さなヘリパッドを作るということはあったが、どう見てもあれは返還だ。ところがいつの間にか移設という話に代わり、基地機能が強化された新基地となった。
・得をしたのはアメリカの海兵隊で、政府は時間とお金を割いてこれを実現させようとしている。最初は県民に寄り添うはずだったのに、なぜ沖縄と全面対決をして強行に至ったのかを考えるべきだ。

というものです。

しかしながら、
・1996年のSACO中間報告にて「十分な代替施設が完成した後、普天間飛行場を返還する。施設の移設を通じて、同飛行場の極めて重要な軍事上の機能及び能力は維持される」という合意がなされており、「小さなヘリパッドを作るのみでどう見ても返還だった」とする主張は明らかに事実に反している。
・日米同盟ならびにその基軸である沖縄の米軍基地は日本の安全保障の最重要事項であり、日本政府がお金と時間をかけることは極めて自然なことである。
・沖縄県と国が全面対決に至ったのは翁長沖縄県知事(当時)が辺野古埋め立て承認の取り消しを実施したことが発端であり、2016年には翁長知事(当時)による埋め立て承認取り消しは違法だとする最高裁判決が出されている。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「施工期間や工費が膨らむことは問題だ」「国は基地移設に反対する沖縄の民意に寄り添うべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「普天間基地の移設を早急に達成するためには必要なコストだ」「辺野古移設のプロセスは合法であり、日本の安全保障上必要だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条(第3号「政治的に公平であること」、同)第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 出生数初の90万人割れについて報道された部分
については前編の報告を、

② IR事業における不正とIRへの疑念について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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